感想&評価『Hollowbody』をレビュー~近未来SFと古典的なホラーが融合したサバイバルホラー~

『Hollowbody』感想評価レビュー

『Hollowbody』(Steam)は、空飛ぶ車が実用化している近未来を舞台としたTPSサバイバルホラー。
サイレントヒルなど2000年代初頭のサバイバルホラーにインスピレーションを受けたゲームです。

近未来的なSF感と古典的なホラー感が融合した、馴染み深くも目新しい独特の雰囲気を体験できます。

謎解きが多くリソース管理に慎重になる必要がある、戦闘よりも物語と探索に重きが置かれたスタイルは、古き良きサバイバルホラーを愛するプレイヤーに特におすすめです。

プレイ時間:約15時間(全実績解除まで)
プラットフォーム:Steam

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物語・舞台について

Hollowbody近未来SFとクラシックホラーの融合

本作『Hollowbody』は、闇市場の運び屋「ミカ」となり、死と腐敗が蔓延する立入禁止区域で行方不明となったパートナー「サーシャ」を探し出すことが目的です。
向かう途中、乗っていたホバー(空飛ぶ車)が突如操作不能になり、市街地に墜落するところから物語が始まります。

ネオンに彩られた聳え立ち並ぶビル群を眼下に、古典的近未来を体現したデザインの空飛ぶ車を運転するミカ。
ナビゲーションAIと軽口を叩きながら会話する様子はSFそのものです。
この冒頭で本作に対する期待感と高揚感は著しく高まりました。

その後すぐに墜落するのもお約束。
60年前にバイオテロが起こり隔離された、イギリスの架空の街を舞台にサバイバルを繰り広げることとなります。致命的なウイルスによって異形化した感染者蠢く街は、近未来からは程遠い陰鬱で陰惨な状態です。

かろうじて、ミカの持っている死者の残留思念を再現できるアイテムと、おしゃれなメニュー画面やUI、MAPから近未来感を味わうことができますが、ほぼそれ以外は古典的なサバイバルホラーな舞台がメイン。

この舞台にそぐわないSF要素が本作の最たる特徴であり、異質で危険な世界にただ一人取り残されたミカの孤独感を演出するのにも一役買っています。

SF部分を大きく押し出さずに混ぜ込みながらも、あくまでクラシックなホラーを重視した世界観は非常に秀逸です。

HollowbodyはUIやエフェクトにSF感を味わえる

ストーリーについては、大まかなアウトラインは判明しますが、詳細な部分については想像で補うしかありません。

  • バイオハザードのアンブレラのような会社が、不老不死の薬を作ろうとして失敗し、街を崩壊させてしまった
  • その時にサーシャの母が犠牲となり、大人になったサーシャが真相解明のために街に向かったが、何者かの攻撃により行方不明になる
  • そしてサーシャをミカが探しに行く

本作はまだ日本語化されていませんが、上記の流れだけ分かっていれば問題なく楽しめるでしょう。

探索・謎解きについて

Hollowbodyここはまさにサイレントヒル感

クラシックなホラーらしく固定カメラ視点となります。カメラの境目でダイナミックに視点が切り替わるようになっているため、慣れるまでは操作に戸惑うかもしれません。カメラの切り替わり部分は画面がぐわんぐわんと揺れ動いて非常に目障りです。そのせいで私は最後まで慣れませんでした。笑

操作にまごついていると、そこをすかさず敵に攻撃されてイライラさせられるので、設定からタンク操作(ラジコン操作)に変更したほうが操作しやすいでしょう。もしくは、アップデートで三人称視点(ビハインドカメラ式)に変更できるようになったため、こだわりがなければそちらに変えたほうが良いです。私は2周目以降そうしました。

Hollowbody手ではなくUIが見どころ

探索・謎解きに関しては本当にスタンダードなサバイバルホラーと言った感じ。
ドキュメントや謎解きに必要なアイテムを集めて要所要所で使っていく定番のスタイルです。

難解な謎解きもなく英語をすべて訳さずとも突破できる程度なので、詰まることはないでしょう。
ただし、アイテムの使い途が予想外なことが多いです。分電盤に割り箸を突き刺したりハサミで手首を切り落としたり、無理矢理感が強くあまりスマートではありません。笑

日本語が無い上に謎解きまで難しかったら面倒臭くて積んでたでしょうからちょうどよい難易度で助かりました。

戦闘について

Hollowbody火炎放射器もあるよ

サイレントヒルに影響を受けているだけあって、多様な近接武器が登場します。
なかでもエレキギターが武器として振り回せるのは面白いです。どこかの狩りゲーは見習え。あと看板アックスもユーモアがあってグッときましたね笑。

しかし近接武器は敵をターゲットできずよく空振りしてしまうので(設定でどうにかできるかもしれない)、あまり使い心地はよくありません。

あと回避アクションもないため、結局銃火器に頼ることになります。
と言っても、敵クリーチャーの種類はごくわずかで数もそんなに出て来ず、倒す必要のあるボスは1体だけです。
まあ、ミカはあくまでサーシャを探しに来たのであって、悪徳企業を壊滅させるべく来た特殊部隊員ではありませんから、これくらいのほうがリアリティがあって適切だと思います。

往年のサバイバルホラーに慣れたプレイヤーなら、戦闘に関しては何も労せず攻略できるはず。

エンディングとユーモアについて

Hollowbody結局誰だったのか

エンディングは3種類あり、そのうち2つはとある人物の生存の有無が条件分岐となります。
この分岐は分かりやすく複雑な行動を求められませんので容易に観ることができるでしょう。

しかし、特筆すべきは3つ目のエンディング。
なんとこのエンディング、いわゆる「犬エンド」なのです。笑

このユーモアは本当に最高。サイレントヒルにインスパイアされているならこのセンスは絶対に必要なんですよ。昨今のホラーにはこのユーモアが足りない。
1周目クリア後に出現する最高難易度「Punished」を回復アイテムの使用回数2回以内でクリアしないといけませんが、その価値は間違いなくあります。
犬エンドと聞くだけで俄然興味が湧いた方、ぜひプレイしてみてください。

Hollowbody犬エンド

ストーリー的には一切おふざけ部分がないのに、こういったところでプレイヤーを楽しませようとするその心意気が、私が何度も触れているホラー作品ならではの「思いやり」なんですよね。
清濁併せ吞む感じと言いますか、メリハリがきっちりしていると言いますか、凄絶な過去を持ちながら明るく振舞う誰にでもやさしい思慮深い人物と言いますか、とにかくそんな感じ。
メンタル的に余裕がないとこういう要素は入れられないですし、プレイヤー側もそれを受け入れられる余裕があるからこそ楽しめます。

かつての高揚感を味わえ懐かしくなりました。

隠し武器も用意されていますし、クリア特典もユーモアがあります。
久々に“ガワ”以外の部分もちゃんとサイレントヒルに影響を受けた作品に出会えてよかったです。

『Hollowbody』:全体を通しての所感

HollowbodyこのSSFチックなデザインが特徴

本作『Hollowbody』は、探索も謎解きもアクションも非常に程良いバランスのサバイバルホラーです。
弾を節約して不要な戦いは避け、こまめなセーブを心掛ける習慣の根付いている往年のファンなら大いに楽しめるはず。

1年ほど待ってみても日本語化される気配がなく不安でしたが杞憂に終わりましたね。
まさか昔懐かしのユーモアまで堪能できるとは実に満足です。

近未来SF感とクラシックホラーを上手く融合した独自性のある世界観は、1作だけではもったいない気がします。ミカの性格や服装は世界観にぴったりのスチームパンクな感じで魅力的でしたし、コスチュームチェンジができたらもっと最高でしたね。この世界観を受け継いだ、ミカ主人公の続編をプレイしたいものです。

古き良きサバイバルホラーに近未来SF感を合わせたオリジナリティと、「分かってるじゃないか!」というユーモアを楽しみたい方はぜひプレイしてみましょう。


以上、『Hollowbody』のレビュー(感想と評価)でした。


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