『Ghostwire:Tokyo(ゴーストワイヤー トウキョウ) 』(PS5)のプラチナトロフィーを取得したのでレビューします。
本作は、人が消えた東京・渋谷を舞台に「和風」スタイリッシュなアクションを楽しめるFPSアドベンチャーゲーム。
印を結んだり御札を武器にしたり超常的な力を使ったバトルは、非常にセンスがありかっこよく爽快。
PS5を持っているなら絶対に外せない1本です。
気に入ったところ・気になったところを感想含め、評価していきます。
プレイ時間:約50時間
プラットフォーム:PS5、Steam
『Ghostwire:Tokyo』全般的な感想
あらすじ・主人公たちについて
謎の般若面の人物によって引き起こされた大規模な超常現象により、東京の人々は一瞬にして消失してしまった。Ghostwire: Tokyo世界でプレイヤーは復讐者となった霊的な存在と手を組み、強力な能力の数々を習得しつつ、未知と対峙し、大規模人体消失の裏に潜む真実を暴いていく。
大規模な超常現象に巻き込まれた、主人公の暁人(あきと)は霊的な存在である「KK」に憑依されることによって、一命を取り留めます。
般若面の人物から妹を助けたい暁人、般若面の人物に復讐したいKK。2人の目的が合致することが判明し、暁人は体を、KKは超常的な力を貸し共闘していきます。
人間と魂(目に見えない存在)のコンビは古今東西いろいろ見てきましたが、本作は若者とおっさんの2人。おそらく一番パッとしない組み合わせです。笑
しかし、等身大の人間であるからこその悩みや葛藤があり、2人のやり取り・掛け合いは落ち着きと安寧をもたらしてくれます。突拍子もない世界観の中でそれは、現状や目的を把握するため(ゲームに整合性を取るため)のバランス感を保つ要素になっています。
つまり、「頑張っている一般人」をプレイヤーは操作していけるということです。異世界化しているとはいえ東京を舞台にするのであれば、やはりこれくらいの人間味あるキャラのほうが馴染んでくれてちょうどいいなと感じました。
PS5ならではのゲーム体験を堪能できる
本作『Ghostwire:Tokyo』には、『サイコブレイク』を制作した会社だけあって、様々な場面で彷彿とさせるシーンや演出が見られます。
随所に日本っぽさを出しつつ、都会的なスタイリッシュさも兼ね備え、かつ、ユーモアも完備している良作です。
とにかく全般的にセンスがあり、細かい所までこだわりが行き届いていて、楽しく爽快にプレイできました。
コントローラーの振動や音声(SE)を効果的に使っているため、PS5の機能を遺憾なく発揮させたゲーム体験を堪能できます。PS5を持っていて本作をまだプレイしていない方はぜひ触ってみるべき1本です。
本作ならではの感動は、動画を観るだけでは絶対に味わえません。気になっている方はまずプレイしてみることをおすすめします。
魅力と気に入ったところ
和風と都市の融合
和(伝統的な日本)×東京(都会)というありそうでなかった組み合わせが非常にセンスを感じられます。
人が消失し、現代風の怪異「マレビト」がうろつく東京。
印を結び攻撃、とどめにコア(心臓のようなもの)を掴み浄化させる一連のアクション。
魂だけとなった人々(幽霊)を形代に集め、公衆電話から外部へ転送し救出。
プレイヤーをサポートしてくれる猫又や天狗などの妖怪。
その他、御札や御神籤、地蔵、神社や墓地、集合住宅など様々な日本を感じさせる要素。
「現代的」と「伝統的」な日本の両方を同時に体感できるのが『Ghostwire:Tokyo』の唯一無二の特徴です。この世界観からはオカルト感やサイコ感はもちろん、至る所に愛が感じられるものとなっています。
スタイリッシュなバトル
FPSは主人公の姿が見えないうえに、酔いやすいのであまり好きではないのですが、本作は一人称視点であることがぴったりハマっています。
印を結んだり御札を使ったり陰陽師的な力でマレビトを攻撃していく手の動きがすばらしくかっこいいのです。PS5のコントローラー特有の振動(アダプティブトリガー)によって、手の動きをダイレクトに体感できるので没入感もすさまじく高まります。
特に、マレビトのコアを霊的な紐でひっぱり引き抜くとどめの技をする時の「グイ~」っと引っ張る感じ。あれは病みつきになるくらい気持ちいいです。この感覚を味わうためにPS5を買っても絶対に損しない、と断言できるほどの爽快感。
PS5のコントローラーだけ買ってSteamでも体験できますが、有線でないと振動しないのでやはりPCではなくPS5がベストです(コントローラーだけ買うのも無駄が大きい)。「PS4より読み込みやグラフィック性能が上がっただけのゲーム機」という考えを改めさせてくれた意味でも価値ある本作。PS5とSteamの両方で発売されるゲームが多い昨今、ゲーム専用機であるPS5の真価がここにあります。
複雑な攻撃(ボタン操作)を巧みに使い分け敵の動きを見切り弱点に大技をぶち込むアクションも楽しいですが、本作はそれらを超える気持ちよさを手軽に序盤から味わえることが最大の魅力と言えるでしょう。
あと、かっこいいスニークキルもあります。やはりこれがないとね!
マレビトの優れたデザイン
敵となるマレビトは、傘を差したスーツ姿の不気味な男、御札で顔を覆われたOL、頭のない学生服の高校生などなど、<そこら辺>にいそうな感じと、オカルティックな不気味さを混ぜ合わせた非常に秀逸なデザインばかり。他に類を見ないビジュアルの敵も『Ghostwire:Tokyo』を象徴する要素です。
サイコブレイクの時も感じた敵クリーチャーに対する高揚感。ひどく気持ち悪くて不気味でおぞましいのにも関わらず、なぜか見入ってしまう感覚。それをまた味わうことができました。
原因はどことなく漂うフェティシズムでしょうか。
基本的に人は人に真っ先に注目するようにできています。3つ点があるだけで顔と認識してしまう「シミュラクラ現象」が発生するくらいですから、人の顔が実際にあればなおさら目をひかれるのです。
しかし、本作のマレビトはどれも顔がありません。
体(服あるいは輪郭)だけなのに魅力的に感じてしまうのは、少し倒錯した感情と言えます。
一説によると笑、顔が無いのは、顔を見せられない(手で隠す、モザイクがかかっている)姿に近しくアマチュア感を彷彿とさせるため、顔が見えるよりはるかに興奮するから、のようです。あるいは、自分の好きなタイプの顔を当てはめて愉しめるから、という説もあるようです。
(この現象に名前はあるのでしょうか。笑)
多くのプレイヤーはそうかもしれませんが、私は<そんなこと>は毛頭も想像さえしませんでした。だからこの説は違うでしょう。
もしかすると、かの有名なゲームキャラ「2B」に近いのかもしれません。(なぜかゲームは知らなくても2Bを知っている人は多い)
2Bは目隠しを取るとかなりの美人であることが分かるのですが、玄人たちはすぐに「目を隠したほうが良い」と指摘しやがります。確かに2Bに関してはそれに同意せざるを得ませんが笑。
先の「アマチュア感」と2Bに対する感情は似ているようでまるで違います。2Bには何よりカッコよさがあるからです。
つまり、そういうことでしょう。ようやく分かりました。
マレビトは、アーバン的スタイリッシュさと不気味さが同居する奇跡的なビジュアル。だから高揚感を味わえるのです。
犬、猫、狸、妖怪
本作の特徴は、スタイリッシュなアクションや倒錯的な魅力あるマレビトだけではありません。
各地に登場する犬や猫、日本の妖怪も世界観を構築するのに重要な要素となっています。
まず、犬。撫でたりドッグフードをあげたりできます。
街の探索中も犬を見かけると思わず足を止めてしまいました。ドッグフードあげると「いただきます!」と言って嬉しそうに食べるのも、そのあと、お礼にお金を掘り出してくれるのも、実に「犬」をしてて癒されます。
次に、猫。猫も街をうろついていますが、餌をあげることはできません。
その代わり猫又がいて、コンビニの店主をやっていたり、アイテムをコレクションしていたり、ゲームに密接に関わってきます。これも非常に「猫」をしていますよね。とても良い要素。
他にも、狸が登場します。街中のいろんなものに化けていて、それを探すサイドミッションがあるのですが、見つけた時のセリフが1匹1匹異なるのです。このこだわりは非常にすばらしい。
それから、座敷童、河童、ろくろ首、天狗、かまいたちなど、日本の有名どころの妖怪も多数登場します。
妖怪というと襲ってきそうですが、主人公をサポートしたりアイテムをくれたり、基本的に味方側の存在。それらを現代の東京に馴染ませているのも素晴らしいです。
これらの愛を感じるユーモアあふれる登場キャラクターは、八百万の神様がいると考える日本ならではの文化。
そして、人のいない異形が蠢く街で、かわいらしさと癒しを提供してくれる彼らの存在は、プレイヤーへの「気遣い」なんですよね。
もし、本作に犬も猫も狸も妖怪もいなかったら?殺伐としたプレイしていて疲れるだけのゲームだったでしょう。このユーモアのセンスは本当に大事。プレイヤーのことをしっかり考えて細部まで丁寧に作っていることが大いに分かります。
プレイヤー対開発者なんて構造があるゲームも一部ありますが、そんなの論外オブ論外なんですよ。某狩りゲーとか某死にゲーとかね。楽しませることをおざなりにした底意地の悪いゲームなんかプレイしている場合じゃないんですよ。ほんと。
気になったところ
独自の世界観を構築してみせた新規タイトルというだけでも価値のある本作ですが、それゆえに改善してほしいところ気になったところもありました。それらに軽く触れていきます。逆にあらかじめ把握しておけば思い違い無く快適にプレイできるでしょう。
収集要素が多すぎる
本作はプラチナトロフィーを取得しようとすると、プレイ時間の8割がアイテムを集めている時間になります。
幽霊、勾玉、地蔵、調査資料、猫又コレクション、ボイスログ、狸などなど、無数のアイテムを収集しなければなりません。
特に幽霊は、街を探索して形代に集めるという行為を気の遠くなるほど繰り返す必要があります。ストーリー攻略で全部集める必要はありませんが、集めると経験値を得られるので避けては通れないのです。
ストーリー自体は大した長さではないので、サイドミッションだけは全部クリアして、収集要素はほどほどにしたほうがよいでしょう。
エンディング後も問題なく全アイテムを集められますからね。余裕があれば集めるくらいのプレイスタイルでいかないと、絶対に途中で飽きます!
律儀に全部集めて次に進めるタイプや取り逃しが不安になるタイプは、飽きる前に次に進んでください。でないと、私みたいに3年くらい積みゲーになりますよ。笑
作り込んだ東京の街を隅々まで見てもらいたい気持ちはわかりますが、収集要素がいくら何でも多すぎました。これは次回作で改善してほしいですね。
暁人(あきと)の性格
主人公の暁人は22歳の学生という設定ですが、言動が少し幼過ぎる傾向にあるのが気になりました。容姿と発言(声の感じ)が噛み合っていないんですよね。高校生設定だったら納得できるくらいの印象を受けます。
40代以上であろうKKとの対比を分かりやすくするためかもしれませんが、もうちょっとどうにかしてほしかったです。
攻撃手段
攻撃方法が風、火、水の属性ごと3種に分かれているのですが、序盤で出そろってしまうのもあり、バリエーションに乏しく感じました。攻撃手段が最初から最後まであまり変わらず若干飽きてしまうんですよね。
メインに使う属性を毎回変えたり御札を適宜使うようにしたりしていましたが、やはり「雷」の攻撃属性は欲しかったところ。これは次回作に期待します。
まあ、収集要素をほどほどにして、ストーリー攻略をメインにプレイすれば飽きるほどではなかったと思いますが。
総評:『Ghostwire:Tokyo』 独自性を評価すべき
すでに述べてある通り、『Ghostwire:Tokyo(ゴーストワイヤー トウキョウ) 』は、PS5を持っているのなら絶対にプレイすべきゲームです。PS5でしか得られないゲーム体験を堪能できます。ぜひマレビトのコアを引き抜いてやってください。
秀逸な世界観を味わうのにもうってつけです。
この時代に他のゲームと似ていると感じる要素がほぼなく、独自の世界を構築できているのは非常に貴重で価値があります。ゲーマーならこうしたゲームを何よりも評価すべきなのです。
サイコブレイクは、ゲーマーとしての気概やこだわりも何もない短絡的思考のプレイヤーにきちんとプレイもせず駄作認定されましたが、今後は本作のようにそんな意見に耳を貸さず躊躇せず、このまま独自性を貫いてほしいと思います。
本作もサイコブレイクも続編を期待しています。
以上、『Ghostwire:Tokyo(ゴーストワイヤー トウキョウ)』 のレビュー(感想と評価)でした。

以下、現状のゲームの在り方への愚痴
シリーズの続編をひたすらに出し続けそれだけで何とか体裁を保つ会社。
過去の名作のリマスターやリメイクを繰り返しただの集金マシーンに貶める会社。
未完成で売りつけ追加DLCでお金を集めておきながらいずれ完成したらいいなくらいの考えの会社。
もううんざりです。いい加減辟易します。
ゲームに限らず日本全体がその傾向にあるのは分かりますが、何よりも「体験」が重要なゲームにおいては例外のはず。
作っている側がプレイヤーを軽んじているせいで、それによりプレイヤーも同様にゲームを軽んじるせいで、少なくない人間がゲームを「観るだけ」で済ませてしまうのです。
最初から最後まで見せてしまうような恥も外聞もないゲーム配信(実況)は例外なく禁止にすべきでしょう。
作っている側の多くにもこだわりがないせいで、プレイヤーもただの金稼ぎの道具にしているのが現状です。
「いや、普通に考えたらわかるでしょ?全編公開してしまったらダメだって」
映画をはじめ、ありとあらゆるフィクション作品が無料で閲覧できる状態にすることは禁止されています。なぜゲームだけが例外だと?というか、ゲーム配信でもすでに逮捕者出てますよね。
法律で明確に禁止されるまでお前らはゲームを無料で垂れ流し続けるのか?みんながやっているからやるのか?それを脳みそがイカれていると言うんですよ。
今一度よく考えるべきです。開発者もプレイヤーも。ニコニコ動画でほんの一部が趣味でやってた時代はもう終わったんですよ。
何より腹立たしいのが、観るだけでプレイした気になってそのゲームを語るゴミがいることですよね。
「ちゃんと」プレイした上での評価は批判であれ賞賛であれ必要なものだし(面白いと感じたのなら面白いと言うべき。その逆もしかり)、それ自体に文句を言うのは愚かなのですが、観るだけの奴がいることによって一部の同じ評価が拡散されてしまいます。それにより、その評価と異なる評価をする者を糾弾する未プレイのゴミがあふれてしまうのです(「表現の自由」の侵害)。
そのせいで、正当で公正な評価がなされず、ゲーム会社も調子に乗ってしまうんですよ。観るだけのバカに喜ばれるゲーム作って満足か?
配信(実況)自体は会社側が許可している分にはマーケティングとして当然ありだし、むしろ必要だと思いますが(もちろん全編垂れ流しはどちらにしても頭が悪い)。
一番困っているのは、中小規模のゲーム会社でしょう。発売日に買うほどではないが気になってはいるというくらいのゲームの場合、たぶん観るだけで済まされる割合が大企業の大作ゲームよりはるかに高いはずです。
そのデータの取りようがないというのが何より質が悪いですよね。明確に損失に換算できないのは痛すぎます。
だから手遅れになる前に、早急な対策を求めます。
動画配信ガイドラインをこっそりサイトに載せてても意味ないんですよ。マーケティングを他人(第三者)に任せすぎ。
わずかでも配信(実況)を見たのであれば、買え。
それが「人間」の行いです。
まあ、コロナ禍で明らかになった通り、「人間未満」の存在があふれている現状では、決して改善はされないでしょうが…。
それでも、私は言い続けましょう。
「最初から最後まで見せてしまうゲーム配信(実況)をしている奴、それを喜んで観ている奴は、例外なく脳タリンの人間未満のゴミ」だと。
<ゲームは観るものではありません。プレイするものです>と。
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