『死噛 ~シビトマギレ~』(PS4/Switch)のプラチナトロフィーを取得したのでレビューします。
「死印」「NG」に続く“心霊ホラーADV”シリーズ第3弾です。
クラウドファンディングで支援して幾星霜。
待ちわびた本作でしたが、途切れ途切れにプレイしながら、ようやく最後までプレイできました。
「死印」と同じ主人公に、同じ仲間たちが登場します。
懐かしさを感じつつ、ホラーゲームとしてそこそこ楽しめました。
ゲームのクオリティは全体的に進化。
1作目、2作目が楽しめた方なら今作も楽しめるでしょう。
ただし、Z指定なだけあって、なかなかにショッキングなイベントスチル(1枚絵)があります。
人によっては、新たな性癖の扉を開いてしまうかもしれません。蟲●とか(笑)
苦手な人は要注意です。
以下、クラファン支援してまで楽しみにしていたホラーファンの一人として、率直な感想(評価)を書いていきます。
ホラーゲームとしては及第点か
ビジュアル面での進化により、恐怖度はぐっと増しました。
(VITAの小さい画面からTV画面に変わったのもあるかと思いますが)
前々作、前作に引き続き、今作もイベントスチルはけっこうグロテスクでショッキングなシーンがあり、エロとグロの相性の良さを改めて感じさせてくれます。
特に今作は、蟲○が好きな方にはたまらないのではないでしょうか。(笑)
このゲームの評価はストーリーやホラー度ではなく、イベントスチルに8割方占められていると言っても過言ではありませんからね。
その点では満足度が高いです。
また、音や振動による演出も強化されており、良質なホラーゲームとして全体的にクオリティは向上しています。
TPS系のホラーゲームよりも、都市伝説や怖い話系のホラーが好き、という方には今作もおすすめ。
複雑な操作を求められることなく、気軽にホラーを味わえるのはやはり良いですね。
とはいえ、「なんか違う」感を味わい続けたのも事実。
それでクリアまでに半年以上もかかりましたから。
後述する「噛み合わなさ」が原因でしょう。
システムの変更も、噛み合わなさの要因に
今作はフィールドを歩き回れるようになりました。
バディシステムは健在で、好きなバディ(仲間)を選び2人でフィールドを移動できます。
フィールドと言っても舞台となる学校内と学校周辺の一部のみであるうえに、横スクロール型(サイドビュー)の移動なので広さは感じられません。
ストーリーの都合上、メイン舞台が学校だけなのが非常にもったいないです。
せっかく歩き回れるようになったのに、上手く活かせていないように見受けられました。
ここが「噛み合わなさ」の1つ目。
探索自体は、ダンジョン型の前作よりもはるかに楽になりました。
しかし、ゲーム性としては残念ながら下がったと言わざるを得ません。
あと、キャラクターごとに走っている時の息遣いが設定されているのですが、非常にうざったいのが1人2人います。
個人的にこれは気になりました。バディから外しました。
よく出来ているようで、ツッコミどころ満載なストーリー
簡単にあらすじを紹介すると、
その原因を究明し、解決に導くために、
「怪医家」と呼ばれるようになった主人公が臨時教師として学校に潜入する。
といった内容。
ネタバレになるので根幹に触れるのは避けますが、
今作はこのストーリーと歩き回れるようになったことがまるで噛み合っていません。
街の各地を訪れる1作目(死印)のストーリーにこそ、この歩き回るシステムが欲しかったですね。
物語自体も1作目ほどの驚きはありません。
「人形」が出てきたときはかなり期待したのですが……。
ストーリー分岐はほぼありませんし、エンディングもGOODかBADのみ。
(都合の良い隠しエンディングなんてない。いいね?)
思わせぶりを溜め込んどいて、章の終盤になるとすっと流れていく話ばかり。
「結局、オチそれなの?それでいいの?」と逆の意味で裏切られます。
それに、「結局、お前何だったの?」みたいな人物も多いです。
「安倍晴明、お前のお札どこで使うんだよ、クソ!」
「声付き立ち絵ありの不良ギャルのくせに、家に帰ったままどうなったんだよ!」
この2人ほんと何だったのでしょうか。
あと、坂本先生もね。ああ、校長もか。
おそらく、予算が尽きてストーリーを端折りまくったのでしょう。
3度(4度?)発売延期したからこれ以上はさすがに無理だ、と判断して、何とか整合性が取れるよう短くまとめる方向にシフトしたに違いありません。
想定していただろうストーリーよりも明らかに短くなってしまっていることが見て取れます。
ここが「噛み合わなさ」の2つ目。「なんか違う」ところ。
シリーズ最大のボリュームと謳っておきながら。
(実際、総プレイ時間はシリーズで一番少ない)
戦闘、および怪異との接触について
前作までは、ダンジョンゲームよろしくの「ボス戦」感ある戦闘でしたが、今作はイベントの一つみたいな形で処理されます。
<サスペンシブアクト>というシステムにより、怪異へのアクションが確率で成功するか失敗するか変わるようになりました。
が、実行率80%以上でも失敗する時はするし、60%以下でも成功する時はします。
失敗すると窮地になって展開が変わるなんてことにはなりません。
特定の選択肢しかないですし、失敗しても体力があれば何度も選び直せるうえ、1度失敗しても2度目は確率が上がるので、ほぼ成功します。
確率にした意味ありますか?
演出は空気読めないほどダサいし。
また、何の道具をどう使うかで結末が変わることもありません。
歩き回って集めた道具の内どれを使うか、どの仲間を連れていくかでストーリーが変わるのが、このゲームの肝だと思っていたんですけどね。
(極めつけに、ボスのデザインはパッとしないものが多い)
サスペンシブアクト(およびボス戦)における正しい選択肢は常に一つのみです。
何度もミスって体力がなくなればGAME OVERになるだけ。
しかも、ボス戦の直前から再開できるために、緊迫感も何もありません。
(最低でも選択肢に時間制限がないと緊迫感が出るはずがない)
サスペンシブアクトの仕様(演出)とストーリー(展開)が噛み合っていないのです。
これが「噛み合わなさ」の3つ目。なんかセンスない。
さらに、
仲間の死に様スチルなし
今作で非常に残念だったのが、同行者の死亡シーンのスチルがまったくなかったことです。誠に遺憾。
(あえて必要な行動をスルーすればあるんでしょうけどね。普通のプレイでは遭遇しませんでした)
2作目『NG』にあった、「口からウミガメを何匹も出産して死亡する少女」みたいなイラストを期待していたのですけれども。
(とりあえず裸にするんじゃなくて、耽美的なグロが欲しかった)
前作みたいに周回して全部のイベントスチルを埋めようという気が起きなかったんですよ、今作は全然。
(エンディングまで行くことだけを考えてた)
たぶん、今作の同行者たちは仲間という感じがなく、本当に「同行者」でしかなかったのも影響してる気がします。
だって、死の危険が迫ってるの主人公だけだし……。
前作の縁や恩返しで協力しているだけですし……。
選択した同行者次第で攻略法が変わるなんてことにならないのもつまらないところでした。
顔出し程度にしか登場しない前作キャラが多いのも残念。
一言二言、会話してさよなら。それ以降は一切出番なし!
扱いがヘタクソすぎるんですよね。
出番自体は多くても、よくよく考えると、あんまり活躍してなくない?
というキャラもいる始末。
まあ唯一、元刑事の真下くらいです。活躍する仲間と言っていいのは。
これが「噛み合わなさ」の4つ目。「思ってたのと違う」ところ。
まとめ:たぶんクラファンしてなければ楽しめた(笑)
ゲームとしてのクオリティは全体的に上がっていますが、
前作までのプレイヤー(私)が求めている部分が多々欠落しており、素直に喜べません。
正直、物足りませんでした。
満足には程遠い内容でした。
が、もちろんクソゲーではないし、駄作でもありません。
とは言うもののやはり、
《続編としての期待値を上回ってくれるものでは到底なかった》
というのが総評です。
いろいろと噛み合っていない部分が多すぎます。
噛み合わせが悪いです。死噛なのにね。いや、死噛ゆえにか 笑
やっぱり学校だけを舞台にしたのはミスだよなあ……。
以下、さらに率直で正直な感想
とにかく発売延期しすぎ!
意気揚々とクラファン支援したのはいいものの、そこからがあまりにも長すぎました。
何年待っただろう。
発売延期のお知らせに何度落胆しただろう。もう萎えマクリマクリスティーですよ。
このゲームへの興味を失わせるには十分すぎるほど延期を繰り返されましたからね。
実際、ようやく発売される頃には「ふーん、あ、そう」という感想になるレベルで、どうでもよいゲームに成り下がってしまっていました。
いざ手元に来ても、プレイ中に何度も寝落ちしてクリアまで半年以上かかるというね。
(そのせいでこのレビューには見逃しや忘れている箇所が多い)
いやもう2度とゲームのクラファン支援なんかやらないと誓いました。
意味がない。本当に意味がないです。
しかも、それほどインディーのマイナーな超小規模なゲーム会社という訳でもないし、1作目、2作目がそこそこ売れたのは間違いないはずだし、そこから資金捻出しろよ。
クラファンの意味あった?と問いたくなります。
死印が出てから時間が経ちすぎて、ホラーゲームとか腐るほど溢れだしたよ。
超小規模な会社(3人で作った!)とかのゲームでもハイクオリティなゲームも珍しくなくなったしね!
NG発売後2年くらい(2020年)にクラファンとかやることなく普通に発売していれば、確実に高評価を付けていたでしょう。絶賛したでしょう。
続編あるあるですが、
良いところを新たに作ると、これまでの良いところが消えるのはなぜなんでしょうね。
(今作の場合、打ち消しすぎてマイナスに)
1作目のレビューで、「このご時世に新作ホラーゲームを出す気概を応援したい」
みたいなこと言ってたけど、前言撤回。
ファンにお金を恵んでもらった上に胡坐をかいた状態で、「まともな」ホラーが作れるわけがありません。
何が一番腹立たしく気に食わないのかというと、まだ全然発売できるような完成度ではなく、ファン(支援者)を待たせまくっている状況で、「新作発売記念」的なライブ配信イベントを行っていたことですね。しかも酒飲みながら。
「こいつら正気か?」と思いましたよ。
今作は、低予算であるからこその工夫がなく、余計なものを付け足しただけに感じました。
なんというか、媚びたスチルの多さからも分かるように「ホラーとしての本質を見失っている」と言ったほうがいいかも。
ボイスが付いてればいいってものではない。
とまあ、クラファンに関わるあれこれを抜きにして考えれば、
「まあ、こんなもんでしょ」「そこそこ楽しめたかな」「地味ながらも正当な進化」
と当たり障りのない評価に落ち着きます。
1作目が好きだった方はプレイして損はないでしょう。
しかしまさか、「NG」のキャラが一切出てこないとは思いもしませんでした。
「死印」と「NG」のキャラクターの共闘は必須だったでしょう。(時代設定がなあ…)
個人的には「死印」よりも「NG」のほうが好きなんですけどね。
NG > 死印 > 死噛
これが結論。
ゲームとして進化してても、面白さとは別なんですよ。
続編が出るなら共闘させられるだろうけど、無理だろうな…。
以上、『死噛 ~シビトマギレ~』(PS4/Switch)のレビューでした。
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