『黄泉~悪夢のアイランド~』(Steam)のハッピーエンドを迎えたので感想とレビュー。
2023年1月20日正式発売の本作は、「ホラースリラー実写没入型インタラクティブシネマティックゲーム」です。
実写の映像を見ながら時折選択肢を選んでいくことで展開が変化します。
昔はよく見かけたシステムのゲームで、若干古臭さは感じますが、ゲームのつくりは非常に丁寧。
プレイヤーの選択でさまざまに変化する物語が美麗な実写映像で描かれます。
ホラー度に関してはそこそこ。ホラーが苦手な方でも楽しめるでしょう。
慣れている方はその工夫された演出にニヤリとできるかもしれません。
値段以上は確実に満足できるゲームです。
マウスだけで操作できる手軽さがちょうどよく楽しめました。
以下、ネタバレなしの感想およびレビュー(評価)です。
プレイ時間:5時間
『黄泉~悪夢のアイランド~』感想とレビュー
簡単なあらすじと紹介
そこへ現れる赤いワンピースを着た少女。
彼女は一体何者なのか。妻は一体どこにいるのか。
「家族」を取り戻すため、主人公は島を奔走します。
幾度となく死を繰り返しながら、妻を探すゲームです。
やり直すことを前提としたタイムリープもののストーリーとなっています。
選択ミスは多くの場合死に直結しますが、やり直しは非常にスピーディ。煩わしさは感じません。
やり直す際も、どの選択が間違いだったか大まかに教えてくれます。
タイムリープそのものがゲームのシステムに組み込まれている感じです。
選択ミスがただ単純にゲームオーバーになるだけの凡百のノベルアドベンチャーゲームとは違い、プレイヤーに徒労を感じさせにくい工夫がなされています。
全体的になつかしさ漂うゲームですが、2023年の新作だけあって映像はとても美麗。
選択肢で展開が変わる系のゲームが好きな方は楽しめるはず。
あと、中国のゲームなので、音声は全部中国語です。
そこに抵抗がなければ問題ないでしょう。
ストーリーについて
ストーリーは日本人にもなじみ深い?「古事記」や「日本書紀」に出てくる、伊邪那岐と伊邪那美の話をテーマにしています。
死んだ妻・イザナミを忘れられず、黄泉の国へ迎えに行く夫・イザナギ。
しかし、イザナミは現世に戻ることを拒絶します。
妻はヨモツヘグイ(黄泉の国の食べ物を食すこと)によって、変わり果てた姿となっていたのです。
それを見たイザナギは…。
というのが大まかなストーリー。
本作『黄泉~悪夢のアイランド~』はそのままこれです。近いです。
ゲーム内で序盤にこの話が出てきます。
もうこの時点で察しのいい人は大体わかりますよね。
とはいえ、展開を予測するのは難しかったです。冒頭のシーンにどうつながるか見当も付きませんでした。
すごいのはストーリーがどう分岐しても納得がいくこと。意外性や驚きもありながら、シンプルにまとまっています。
それから、主人公の過去がフラッシュバックするシーン。タイミングや量が的確です。
まあそうなんだろうなと推測できても、確信が持てません。
いやだからそれでどうなるんだろう?と続きが気になりました。
というか、オチを予想してやるようなゲームではないです。
当たらない(当てない)ほうが間違いなく楽しめます。
ミステリーの犯人を捜すかのようなプレイは止めましょう。笑
メタ視点的な憶測をしてもあまり意味をなしません。
主人公と同じ目線でプレイすることをおすすめします。
システムについて
タイムリープして選択肢を選び直す
セーブポイントから違う選択肢を選び直すだけという味気無さはありません。
ゲーム自体にタイムリープ設定を組み込めているため、スムーズにやり直せます。
選択肢を選び直すことをタイムリープ(輪廻転生)として扱っている感じです。
選択肢以外はスキップできるので、テンポも悪くなりません。
ただ、正解ルートが考えればわかるようなものではないのが難点かなと思います。
こういうゲームをいろいろやってきた人ほど、最初はなるべくバッドエンドに行きそうな選択肢を選びたくなるでしょうし。
ポイントクリックで探索
ポイントクリックで探索するシーンが何度かありますが、
どこに何があるのか不明瞭な上に何をすれば探索完了になるのかわかりにくいです。
別に全アイテムを見つけられなくても話は進められるけれども。
昔のひねくれたゲームを思い出して、あまり好きになれません。
ここだけは改良してほしいところ。
タイムリープの仕様が悪くないだけにちょっと面倒に感じました。
と言ってもまあ、分かりにくいのは薬と電気のスイッチくらいか。
QTEありまぁす!
映像を眺めてたら突如としてQTEが来ます。
しかも操作方法がわからない状態で。
これには焦りました。
もう少しわかりやすくしてほしいです。
QTEを親の仇のごとく嫌っている人は少なくないらしいので、そういう人はやらないほうがいいでしょう。
最初は失敗したほうがむしろ良いかもしれませんが。
クリック連打かドラッグか、選択肢を瞬時に選ぶか、しかないですけどね。
ホラー度について
怖すぎてヤバいとかグロすぎて見てられないとかではなく、丁寧な演出のホラーシーンが多いです。
不安感を煽るくらいのちょうど良い怖さなので、耐性がない人でも楽しめるでしょう。
明らかに屍人の劣化版みたいなのが出てきますが、そのチープさに逆に安心できます。
あくまで主人公の父親としての葛藤がメインのゲーム。
焦燥感や後悔、罪悪感など心理的なものによるホラー表現がほとんどで、いたずらにビックリさせるような演出はほぼありません。
ホラーゲームとして怖さを求めてプレイするのはお門違いと言えます。
だったらなぜ私はこのゲームを買ったのだろうか…。
気軽にプレイできる『黄泉~悪夢のアイランド~』
滅多に新作を買うことのないSteamで、なぜかふと目に留まってすぐさま購入した本作『黄泉~悪夢のアイランド~』。
おそらく実写を使ったゲームに懐かしさを覚えたのと、黒ずんだ湖の上に立つ赤いワンピースの少女のメインビジュアルに惹かれたからでしょう。
それから、価格。
プレイしていると忘れがちになりますが、本作はなんと定価でも1000円ほどです。
この値段でこのクオリティは満足度高すぎました。
これ日本で発売してたら、7800円とかだったのでは。
最近は本当にインディーゲームのクオリティが上がりましたね。
まだ海外のゲームが日本語訳されている今のうちに楽しんでおきたいところです。
いずれ近いうちに多くの作品(ゲームに限らず)で日本語訳されなくなってくるでしょうから。
映像も音楽も物語も十分すぎるほど楽しめました。
イーシンが突然僕っ子になったり主人公の思考が女性口調だったり、字幕が変なところが修正されれば、不満は一切ありません。
値段以上大いに楽しめた『黄泉~悪夢のアイランド~』
気軽にプレイできるゲームなので、気になった方はぜひ。
以上、『黄泉~悪夢のアイランド~』のレビューでした。
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