「泣いて戦うアクションRPG」という一風変わったフレーズと幻想的な雰囲気に興味を惹かれた『CRYSTAR -クライスタ-』(PS4)。
エンディングを迎えたので、簡潔にゲーム紹介しつつレビューします。
知名度に反して、シナリオ、グラフィック、キャラデザイン、BGMすべてにこだわりを感じられる良作でした。
一部欠点に目をつむれば、サクサク進める難易度で誰でも気軽に楽しめるでしょう。
気になっている方はぜひプレイしてみてください。
Switch版発売!(2022年2月24日)
泣いて戦うアクションRPG『CRYSTAR -クライスタ-』
あらすじ
『殺した妹をヨミガエリさせるために』 死後の世界”辺獄 (へんごく) “に迷いこんだ少女”零 (れい) “とその妹”みらい”。
とまどいながらも元居た場所に帰ろうとする2人に 得体の知れない異形たちが襲いかかる。 みらいを守るため異能力に目覚め、戦う零。
しかし、ちからの暴走から、みらいを自ら殺してしまう。
絶望する零に、悪魔がささやく。「異世界をただよう死者の魂を刈り、その苦しみの末に流した涙を捧げれば、 死んだみらいを『ヨミガエリ』させることができる――」
妹のために悪魔と契約した零は、命がけの戦いの舞台にあがる。
妹を殺してしまうというなかなかにインパクトある導入から物語が始まります。
主人公の零だけでなく、他に3人のキャラ(小衣、千、777)を操作可能。
それぞれ使う武器・スキルが異なります。
また、性格も4人とも大きく異なり、キャラクター同士の掛け合いも本作の見どころ。
基本的にキャラの会話を楽しみつつ、その合間にモンスターを倒していき、ストーリーを進行させるゲームになります。
アクション部分に関しては、温かい目で見てあげましょう。
サクサク詰まることなく進めるので、息抜きにぴったりなゲームです。
まあ、ストーリーの暗さを除けば、ですが。
お気に入りポイント
BGMが非常に良い
クライスタで最もフィーチャーされる部分が音楽です。
背景グラフィックと相まって、終始幻想的な雰囲気をゲーム全体に漂わせています。
このBGMがなければ、クライスタの魅力は半減。
ゲームをプレイしていない人でも良いと思えるハイクオリティなBGMを堪能できます。
ビジュアル(絵)がキレイ
各ステージ(辺獄)の様子は圧巻です。幻想的であり神秘的。
音楽と共にこのゲームに他にない唯一無二な雰囲気を作り出しています。
キャラクターの立ち絵も雰囲気に適していてすばらしい。
ストーリーがよくできている
予想よりもはるかに練られたシナリオでした。
非現実的な世界観を見事ゲームに落とし込んでいるなあと感心。
クリア後の爽やかさは、それまでの陰鬱な気分を払拭するには十分すぎるほど。
涙を目いっぱい流した後のような、
雨上がりに雲間から差すやわらかい日の光のような、
心地よさを味わえます。
キャラが4人とも良い子
その状況下ゆえに仲違いするシーンもありますが、生来の人の良さが感じられるため、不快な気持ちになりません。
2次元キャラに感じがちな特有の胸焼け感がなく、違和感なく楽しめました。
服装デザインもよいですね。
主人公以外の私服姿も見てみたかった。
全体的にセンスがあふれている
音楽もグラフィックも絵も全体的にセンスにあふれています。
この独特の雰囲気を味わえれば、今作をプレイする理由としてはそれで充分。
いわゆる「雰囲気ゲー」と呼ばれるゲームの中でも優れた作品です。
少し残念なところ
話が暗い
そもそも死んだ後の話なので暗いのは当然…かなあ?
777がいなければ途中でクリア放棄していたかもしれません。
クリア後はそれまでの暗いイメージが払拭されますのでご安心を。
ダンジョンが広い
ストーリー進行のために、何もない行き止まり多数のエリアを毎回踏破する必要があります。
後半になるつれてどんどん広大になっていくので、飽きの原因になりました。
雑魚敵がワンパターン&体力が多い
モンハンに出てくる無駄にうざい小型モンスターと延々と戦わされている気分になります。
種類も少なく色違いが最後までずっと登場。モーションも変化なし。
アクションが退屈
最初から最後までできることが変わりません。
レベルアップでコンボが増えたりアクションが多岐に渡ったりするようなことはなく、常に単調です。
キャラ4人の連携が取れず、4人いる意味が希薄。
残念ながらアクション面に関してだけはセンスがまったく感じられませんでした。
せめて、ガードとカウンター攻撃があれば…。
守護者の存在意義とは…?
ストーリーが少し長い
ストーリー進行上、一度クリアした広大なダンジョンを何度もクリアしなければなりません。
物語への没入感を削ぐ要因になっていたのが残念です。
ストーリーは良いのですが、ダンジョンがとにかく面倒でした。
もう少しコンパクトだったらなあ。
考えたこと・感じたこと・小噺
守護者・ボス・モンスターの名前が哲学者&哲学に関するものになっている
ここに大きな意味はあったのでしょうか。
各キャラの背景とともにもう少し掘り下げてほしかったです。
特にキャラクターたちは、辺獄だけでなく現実世界での関係が見たかった。
泣く姿のバリエーションが豊富
零の泣くシーンが多数あります。
今作を象徴する「涙」だけあって、涙の流し方、嗚咽の仕方など強いこだわりを感じました。
泣き声、泣き顔フェチの方にもおすすめです。
必見オープニングアニメーション
ここに予算のほとんどが使われたのでは?
と思えるくらいに本作をイメージ付ける美麗でハイクオリティなOPでした。
ゲーム開始前、攻略途中、クリア後で見るとそれぞれ感想が変わるのも面白いです。
特に、零の変身シーンは必見。
例のごとく定番のごとくお決まりのごとく、一瞬裸になります(というか、骨も見える)。
このシーンでなんと、実は零がノーパンであることも判明!
これは見逃せませんねえ。
常にノーパンで辺獄を探索していたのかなあ、という妄想が捗りました。
問題のシーンはこちら↓
まとめ:涙に意味を見出すRPG『クライスタ』
『CRYSTAR -クライスタ-』は、この手の日本のRPGの中では、抜きん出た良作です。
(「この手の」とは、声優の演技にあまりにも大きく比重が置かれたキャラづくり&ストーリー展開のみで構成されたゲームのこと)
こういうゲームはアクション部分を面白くしたらダメな決まりでもあるのでしょうか。
本作も「せめてもう少しここをこうすれば…!」という部分が多すぎます。
とはいえ、アクションとエリアが単調なことを除けば、確実に良作です。
「買うな、俺は買うが」で有名なこの手の某ゲームに比べれば、手抜きに感じないがゆえに惜しい。もったいなく感じます。
物語の破綻もバグもなく、ゲーム全体に丁寧さやこだわりを感じますが、やはり、各ステージの単調さは見ないふりをできません。
個人的には、苦痛と言ってもいいほどでした。
たとえアクションが微妙でも、
哲学的な感情の深堀りがなされていれば、それがストーリーに組み込まれていれば、名作になり得たかもしれません。
ゲームとしてというよりは、音楽やビジュアル、アニメーション、声優さんの演技に作品としての価値を感じる方には特におすすめします。
以上、『CRYSTAR -クライスタ-』のレビューでした。
Switch版発売!(2022年2月24日)
画集付限定版は欲しいかもしれない…
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