待望(?)の続編『廃深2』(Switch/Steam)の感想・評価(レビュー)です。
今作も動画配信をテーマに、チャンネル登録者数増加をねらって3人の女子大生が廃墟となったショッピングモールに潜り込みます。
今回は豚ではなく猿の着ぐるみに襲われる主人公たちですが、3人があまりにもメンヘラすぎて、猿よりも怖かったです。その意味でもホラー風味アドベンチャーとしてパワーアップしているのではないでしょうか。
プレイヤーと視聴者の期待に応えてか、前作よりもパンツ増し増しになっていますので、興味のある方はぜひプレイしてみてください。
プレイ時間:10時間
前作のレビューはこちら↓
パワーアップした要素
『廃深2』は続編として充分期待に堪えうるゲームとなっています。
前作の3人のパンツたちに興味を惹かれた方は今作もプレイしましょう。
今作はよりパワーアップしたパンツたちを拝むことができますしね。
念のため言っておきますが、「ホラーゲーム」をプレイしたい人には本作もおすすめしません。
以下、前作よりパワーアップしたと思える要素です。
- 主人公たちの掘り下げの増加
- 3人の主人公が連携する謎解き
- 追いかけてくる着ぐるみの速度
- 狂気度による3ノックダウン制
- ストーリーボリューム倍増
- 前作よりもスムーズに進行する
- 「詰み」が発生しないように配慮
前作は主人公たちの背景や掘り下げがあっさりしていましたが(というかほとんどない)、今作は3人がどのような目的で動画配信をやっているのか、3人がどう友達となったのかなどが開示されます。
主人公の性格が表れるエピソードを振り返ることで、前作よりも感情移入、物語に没入しやすくなったと言えるでしょう。
残念ながら、前作登場の鋼のメンタルを持つ生駒美桜のようなキャラクターは今作には登場しません。
3人とも全員ヒステリー持ちでメンヘラです。これをいかに耐えうるか楽しめるかが攻略のカギとなります。
真の脅威は猿の着ぐるみではありませんので要注意です。
謎解きに関しては、3人がそれぞれ1階・2階・3階を担当することになります。
合流して一緒に協力して何かをするということは(最後を除けば)ありません。
常にライブ配信状態のスマホを通して、お互いの状況を把握できるようになっています。前作ほど分かりにくい謎解きはなく比較的サクサクと進みました。
(見えない場所にアイテムが置かれるなどという捻くれたイベントはなし)
そして、今作の追跡者は、猿です。
着ぐるみは豚ではなく猿になりました。
もう滲み出てます、プレイヤーあるいは視聴者を見下してる制作者の思考が。動物選びのセンスがあるとも言えますけどね。
しかも、豚よりも追いかけてくるスピードが非常に速いです。
少し出遅れると一瞬で捕まります。おまけに、隠れていてもランダムで見つかるパターンが発生するようになりました。
猿が部屋から出ていくのを待ってたら、背後に突如として出現するので、なかなかにびっくりさせてくれます。
逃げるのが難しくなったかわりに、3ノックダウン制になりました。
猿に2回までは捕まっても大丈夫です。が、捕まるたびに狂気度が上がって、画面がノイズで見にくくなります。
狂気度は、各階に設置されたブルーハーブで回復可能です。使えば狂気度を「低」に下げられます。
低より下はありません。3人とも狂気度が初期状態で「低」なのです。仕方ありませんね、3人ともメンヘラですから。
主人公3人の掘り下げが増えたおかげか、ストーリー的にもプレイ時間的にも前作の倍ほどのボリュームがあります。この点は続編としては嬉しいですね。これでこそ2でしょう。
また、改善点としては、前作のような「詰み」状態が発生しなくなり、やり直し発生の恐怖におびえることなくスムーズに進められるようになりました。
前作はテストプレイしていれば分かることが放置されていただけなんですけどね。
以上が前作よりも良くなったところ・改善されたところ・パワーアップしたところになります。
前作を楽しめた方はプレイして損はないでしょう。
気になった点・不快なところ・「微妙」に感じた部分
今作『廃深2』はゲームとしては確かにパワーアップしています。
もはや低価格のインディーゲームという括りではなくなりました。
しかし、悪い方向に変化した点もあります。
露悪的な趣味で溢れ出ていて、「まじで気持ち悪いな」と感じる場面が散見されるのです。
パンツだけに気を取られていれば、気にならないのでしょうけども。
- ホラー度が下がった
- 3人ともメンヘラ
- 会話・やり取りがくどい
- 3人ともスカート
今作はホラー度が下がりました。
猿の着ぐるみは豚よりもはるかに難敵ですし、追いかけてくるときの笑い声が非常にキモくて恐怖感はアップしたかのように思えます。
ですが、舞台となるショッピングモールと着ぐるみの中の人の設定が甘い・浅いのです。
パズルとしての謎は良くても、物語を紐解いていく謎が全くありません。
そのせいで、ホラーとしての深みが増すことはなく、ただの脱出ゲームに成り下がりました。
ただでさえ少なかったホラー要素を捨ててパンツに振り切ったのが、パンツ以上に見え透いています。
主人公3人の設定からもそれは顕著。
掘り下げが増えたのはいいのですが、とにかく面倒くさい。やり取りを見てるとイライラしてきます。非常に不快。女三人よれば姦しいを体現しています。
これで人物や物語に厚みが出ると思ったら見当違いも甚だしいです。
プレイ中に何度も「こいつら確か大学生だよな?」と確認してしまいました。言動があまりにも幼稚すぎて。
「まだ若いなあ」とか「こんなことで悩んでたこともあったなあ」とか懐かしめるほうの未熟さではなく、幼稚で気持ち悪いほうのキャラ設定。いわば、メンヘラ。
1度や2度ならまだしも、くだらない似たようなやり取りを延々と繰り返しやがりますからね。
2人が諦めて絶望してヘラって、もう1人が励まし鼓舞するくだりをひたすらにリピート。本当に見るに堪えなかったです。
久しぶりにゲームのキャラに嫌悪感を抱きました。
B級ホラーの序盤によくある仲の悪い人物どうしのいざこざ。
あれがどうして定番のごとく放り込まれているのかと言うと、たいてい性格の悪いほうが真っ先にぶっ殺されてスッキリするからなんですよ。カタルシス味わえるんですよ。ヒャッホウ!ざまあ!って感じでね。
ちゃんとした目的や意図があったうえでの不快で幼稚な仲違いは大歓迎です。
しかし、本作は主人公が3人。当然誰も死にません。誰か死んだらそこでゲームオーバー。
仲違いや言い争いはプレイヤーにカタルシスを味わわせるような計算されたものではなく、彼女ら3人がそうしたいからそうしているだけの無駄極まる虚無。3人の狭すぎる世界で自己完結しています。
そのため、プレイヤーのイライラ(感情の動き)に配慮などあるはずもなく完全に無頓着。置いてけぼり。3人へ不信感を募らせたまま、もやもやを抱え続けたまま、プレイしないといけなくなります。
そうなると、どうなるか。
3人が猿に殺されようが前向きになろうが生きて脱出できようがどうでもよくなってしまうのです。
街でよく見かける横並びで歩く女たち。
彼女らは視野が半径5cmほどしかないので、周囲へ意識を向けるなんて芸当は到底不可能。
正面から人が来ても、後ろから車にクラクションを鳴らされても、決して動こうとはしません。
いえ、動かないだけならまだマシなほうですね。ママチャリミサイルに乗って突っ込んで来るのもいますから。
そのくせ事故を起こしたときは、即座に被害者に早変わり。
彼女らは街を動き回る地雷と言ってもいいでしょう。絶対に関わりたくない人種です。
本作の主人公3人には、このタイプの人間と同じ印象を受けました。
そんな人物を動かして楽しい訳がありません。脱出に導いても達成感を味わえる訳がありません。
要は、主人公としての魅力がこれっぽっちもないのです。
パンツは思い出せても、顔と名前が思い出せない。そんなプレイヤーも少なくないでしょう。
3人の名前、フルネームで言えますか?私はもう覚えていません。
まあ、3人ともメンヘラ設定にしたのは逆に斬新ですごいのかもしれませんが。
それにしても、3人ともスカートなのは、本当に「ない」ですね。実にナンセンス。
ほぼすべてのイベントスチルでパンツが見えます。
一番気持ち悪いと思ったのが、猿に捕まった後の匂わせ。あれは最悪です。
猿に捕まると、トイレに放置されます。しかもスカートがめくれてパンツ丸出しで床に寝転がってる状態で。
これもう確実に強姦されてますよね。
前作の時点で「配信者」を上手く利用する狡猾な制作者たちというのは分かっていましたけど、ここまで露骨だと下品・はしたないです。節操ねぇなという感じ。
キャラクターを語るうえで背景を構築するうえで、物語上なくてはならない場合は別ですが、現実でも普通に起こりうる事件を想起させる描写はNGということを知らないんでしょうか?
少なくともトイレ以外の場所であればまだ理解できたんですけどね(例えば、猿の待機所とか秘密基地とか巣とか。トイレの床に寝転がすなんて普通はしない)。もしくは、いっそのこと18禁ゲームにして匂わせではなく直接描写すればいいんですよ。
中地半端にやるのがとにもかくにも気持ち悪い。
そんなに気にすることか?と思う人はすでにメンタルが汚染されているので気をつけてください。
私はホラー方面を充実させてくれるほうに一縷の望みを託していたんだけどなあ。
あっさり裏切られました。笑
まさかパンツのみに振り切ってくるとは…。
もし3が出たとしても買うことはないでしょう。お値段的にもお得(見合った内容)とは言えなくなったし。
まさかの社会風刺ゲーム?
もしかすると、『廃深2』は社会風刺ゲームなのかもしれません。
主人公たちを追いかけてくる猿は承認欲求が具現化したモンスターですし、
配信者(主人公)はもちろん承認欲求を満たしたいがために動画を撮ります。
痛烈な皮肉に感じました。
動画配信者たちはこのゲームをプレイしてどう思ったのでしょうか?
ゲーム内で、めちゃくちゃ馬鹿にされ皮肉られて…。
いや、そんなこと気にするわけないし、気づく訳もないか。
そこに気付くような人間がそもそも厚顔無恥にゲームを垂れ流したりしないでしょうし。
ゆえにフィクションは無力なんですよね。
主人公3人が3人ともメンヘラなのもよく考えてみれば、
「配信者なんてみんなメンヘラだよね」と制作者が考えているに他ならないからこその発想ですし。
声高に言ったものの虚しく憐れ
なんてたってこの世がぶっ壊れ
ならば振り切るぜ時代はパンツ(パンツ!)
テーマは配信
観なきゃ背信
誰もが抱く関心
そうさそれがパンツ(パンツ!)
群れる信者は素っ頓狂
蒸れる布切れに熱狂
暮れる人生の陰りに発狂
それでも働け馬車馬のごときパンツ(パンツ!)
鼻先にパンツ 鞭打つは承認欲求
軒先にパンツ 企てるは承認欲求
目先にパンツ 希うは承認欲求
満たされないStreamer!
奴らは等しくMonster!
Hey! Come on! Star!
Yeah! Yeah!
以上、『廃深2』のレビュー(感想&評価)でした。
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