『ヘッドライナー:ノヴィニュース(Headliner:NoviNews)』は、非常にタイムリーで少し考えさせられるゲーム。
平常時であれば、なんてことはない安価なインディーゲームとして見向きもされなかったかもしれません。
が、コロナウイルスが猛威を振るっている今この現状では、私たちに新たな(あるいは、見て見ぬふりをしていた)視点・気づきを与えてくれます。
アニメ、ドラマを見ながらでもプレイできる息抜きにおすすめのゲームです。
PS4、Nintendo Switch、Steamでプレイできます。
プレイ時間:13時間ほど(プラチナトロフィー取得まで)
編集長が世界を動かす、世界を変える
主人公は、ノヴィスタンという国で新聞社『ノヴィニュース』の編集長を務めることになります。
編集長の仕事は、毎日のニュースを採用か不採用か決定すること。
その選択によって、世論・世界情勢が大きく変化します。
期間は14日間。
国民を混乱させ暴動に扇動させるも良し、警察力を強化し治安維持に努めるのも良し。
ノヴィスタンの未来はすべて主人公の手に委ねられています。
あなたが『ヘッドライナー』(時代の最前線を行く者)となるのです。
ゲーム内容はこんな感じです。
ニュースの採用・不採用は〇ボタンか×ボタンを押すだけの非常に単純なものなので、特筆すべき点はありません。あとはキャラクターとの会話と選択肢を選ぶくらい。
1周目に1時間半ほど、2周目以降は1時間弱でサクサクとクリアできるボリューム。
マルチエンディングで周回プレイ前提の内容となっています。
1周目は思うがままの選択肢を選んでいったほうが楽しめますよ。
(ちなみに私は編集長をクビになりました笑)
風刺と皮肉と滑稽さと…
セール中のタイミングで買いましたが、このゲーム、実にタイムリーです。
舞台となる国・ノヴィスタンでは、謎の奇病が蔓延し、病院に列ができ、道端では人々が嘔吐しまくっています。
主人公の報道次第で法律の可否が決まるだけでなく、国民の思考、行動にも大きな変化をもたらしますが、
ノヴィスタン国民はノヴィニュース信じすぎ!笑
ニュースに一喜一憂し、右往左往し、周章狼狽するノヴィスタンの人々。
時には暴動・デモを起こし、外国人迫害もアルコール中毒も放火も厭わない暴徒と化します。
しかしこれは、
医療崩壊が目前に迫り、
デマを信じてトイレットペーパーを買いだめに行ったり
マスクを求めてコンビニ・スーパーの店員に怒り狂ったり、
平気で人の多い場所に群がり遊び歩いたり、
満員電車で通勤せざるを得ない状況であったりする、
今この日本の現状に酷似していると言えなくもないです。残念ながら。
コロナウイルスが猛威を振るい、未曽有の危機にさらされている社会では、ノヴィスタンの惨状をただのフィクションと捉えることはできないでしょう。
もしかすると私たちの世界でも、政治家やマスコミたちは、「まるでゲームかのように」国民が混乱・困惑・混沌とする様を見て楽しんでいるのかもしれません。
東日本大震災後の政府の対応を見て、その愚かさに気づかなかった人たちも、コロナウイルス・東京オリンピックに関する一連の流れでようやく気付き始めたようです。
「あれ?日本ってヤバいんじゃね?」と。
正直、ノヴィスタンをバカにできないほど、この日本の状況はかつてないほど良くありませんからね。
婉曲的皮肉(=もはや直接的?)イベントが面白い
壮大な音楽とともにビルの屋上から住民が連続で飛び降り自殺するイベントは一見の価値があります。最後に流れる拍手は、THE・皮肉。
滑稽に思えるイベントシーンも実生活に照らし合わせてみると、案外まったく笑えないことに気づけます。
身近でもたくさんこのような「滑稽なイベント」は毎日起きているのだ、と。
特にコロナ関連では多々ありますよね。
いまだに満員電車で通勤している人は大勢いるのに、各種イベントは中止しまくりですし、中小の飲食店はほぼ営業できない状態ですし。
中でも、マラソン大会。
なぜかどのイベントよりもいち早くやり玉に上げられていましたよね。
(私もマラソン大会に申し込んでいた一人なのですが、見事中止となりました)
まさに滑稽。
スーパーも道路も電車も仕事場もたくさん人いますけど?とその時は思わざるを得ませんでした。(2月の話なので、現状では仕方ありませんけどね)
この状況を「まるでゲームかのように」楽しめればもっと前向きになれるのかもしれませんが…。
『ヘッドライナー:ノヴィニュース』は風刺画のような皮肉と滑稽さを味わうことができる、まさに旬のゲームと言えるでしょう。(これはもちろん皮肉です)
ゲーム内容に関して
安価なインディーゲームなので、そこまで長所や欠点を上げてレビューするほどではありません。
プレイして自分がどこまで思考を巡らせることができるか、どこまで有用性を見出せるか、が重要となるでしょう。
アクション大作ゲームであれば、全部受け身でプレイしても十分満足できますが、こういった類のインディーゲームは、能動的にプレイする必要ありです。
そうすることで、自分の視野やモノの見方を再認識するのに役立つこともありますからね。
ゲームそのものに楽しさを見出すのではなく、「ゲームを通して」得られるものがある、気付ける視点がある。
『ヘッドライナー:ノヴィニュース』はそんなゲームとなっています。
BGMがとても良い
ダイナミックな勢いのある感じや不安を煽るようなバリエーション豊かなBGMを聞くだけでもプレイする価値があると言えます。
3周目以降は、BGMを楽しみつつ、ついでにゲームをプレイする状態になっていました。
(トロコンには、8周半を要しました。効率よくやれば5周でできそうです)
パッケージ版の初回特典が、サウンドトラックになっているだけはあります。
エヴィがかわいい
あるいは、同僚のエヴィの可愛さを見るだけでも価値があるかもしれません。
笑顔がすごく良いんです、このキャラクター。
ちゃんと自分の考えと信念を持っているのもGOOD!
エヴィと愛を育むルートもあるので、気になる方はぜひプレイしてみてください。
(足りない部分は想像でカバーしましょう)
トロフィー名も皮肉が効いてる
自嘲気味のトロフィー名には思わず苦笑い。
でも、自虐するほど面白くないゲームではないですよ、と言いたくなります。
マルチエンディングで1周のプレイ時間は短め。
いろいろ選択肢を変えつつ、登場人物たちの変化を楽しめる。
外出自粛中の今、息抜きにやってみるのもいいかもしれません。
トロコンも比較的容易だし、安価だし、セール中に買うのをお勧めします。
選択肢で展開が変わるノベルゲームが好きな方は、問題なく楽しめるはずです。
まとめ:これさえ把握しておけばOK!
- BGMが良い
- 1周が短くシンプルに遊べる
- 詰まることなくストレスなく遊べる
- 2周目、3周目に発生するイベントが用意されている
- エヴィがかわいい
- 編集長になって世論を操作という新しさ
- キャラメイクができる笑
- トロコンが比較的容易()
- 何らかの気付きを与えてくれる(かもしれない)
- エヴィがかわいい
以上、『ヘッドライナー:ノヴィニュース(Headliner:NoviNews)』のレビューでした。
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