和風狩りゲー『WILD HEARTS(ワイルドハーツ)』(PS5)のレビュー(感想と評価)。
本作は、「からくり」を交えたスタイリッシュな戦闘が斬新な和風「狩りゲー」です。
非常に中毒性が高く、時にイラっとさせられながらも、止め時が分からなくなるほど楽しめました。
バグや欠点は大量にあっても、それ以上に面白くてハマる要素が豊富にあります。
実際プレイ開始直後は、ホグワーツレガシーと迷ってこっちにしたことをひどく後悔していました。
が、結局、プラチナトロフィー取得までやりこんでしまうところに本作の魅力は象徴される気がします。
久しぶりにゲームに熱中できました。
今後もアップデートでコンテンツが追加されるようだし、まだまだ楽しめそうです。
「最近モンスター狩ってねえな」と腕を振るえる機会を探している元ハンターにおすすめします。
ワイルドハーツの概要
本作『WILD HEARTS(ワイルドハーツ)』は、中世の日本(日ノ本)を舞台にした和風スタイリッシュアクション。
プレイヤーは”獣”を狩る「獣狩(ししがり)」となって巨大な獣たちに挑みます。
ユニークな8種の武器と「からくり」によるスタイリッシュなアクションが最大の特徴。
モンスターの攻撃力が高く動きが機敏で激しいので難しく感じることもありますが、からくりを駆使して上手く立ち回れた時の爽快感は唯一無二です。
難しくてもオンラインで助っ人を呼ぶ「助太刀」システムを活用すれば突破は容易になるので安心。
獣、各エリア、武器、拠点はすべて和風デザインに統一されておりそのどれもが秀逸です。
春夏秋冬の風景を堪能できます。
狩りゲーが好きな人だけでなく、和の雰囲気が好きな人にもたまらない作品でしょう。
問題点・欠点・気になるところ
まず、本作のダメなところから紹介します。
プラチナトロフィー取得までプレイしましたが、手放しで褒められるようなゲームでは決してありませんからね。
早急な改善・修正を望む!
各種バグについて
今時アプリケーションエラーが頻発するような状態でゲームを発売するでしょうか?
クエストをクリアして拠点に戻る前にエラーが起きて、クエスト開始前の状態に戻ることが度々ありました。時間と素材を返せ。
今はアップデートで直りましたが、発売直後は、BGM以外の音が消失する、もしくは、遅れて音が聞こえてくるバグが頻発していました。また、ムービーが勝手に早送りされるバグにも遭遇。
しかも、序盤の一番盛り上がる場面であろう猪(ヤマウガチ)戦でこれが起きたからもう萎えまくり。
さらには、幸いにも私は遭遇しませんでしたが、トロフィーバグやデータ消去の報告もあるらしいです。
これは絶対にあってはならないバグでしょう。
もう半年遅らせてもいいから万全の状態で発売しろよ、
これでお金とるのかよ、
とキレられて当然のレベルです。
有名でない小規模なインディーゲーム会社がこれらのバグを起こすのであればそこまで問題にしないし、怒りもしないでしょう。
しかし、何十年もゲーム開発を行っている会社がこれをやらかすのは消費者を舐めているとしか思えません。
平気で発売日を延期できて何のお咎めもないのは、ゲームくらいなのだから不十分であると判断したなら延期してくれ。
それに数回のアップデート、それも、発売して比較的早くに直せるくらいのバグならば発売前に直しとけよ。
と声を大にして言いたいです。
このゲームに対する第一印象がこれ(バグ)なんですよね。
ここから評価をプラスに持っていけるのは投げ出さずにある程度までやり込んだ人だけですよ、ほんと。
制作スタッフは、楽しそうにプレイしてる様子を動画配信してる人たちに猛烈に感謝すべき。
クソすぎるカメラワーク、ターゲットカメラの仕様
今作最強にして最凶の敵、それがあまりにもクソすぎるカメラワークです。
敵の動きに合わせてあっちこっちにグルグルと回転しまくるし、獣の体や透過しないからくりが画面全体を覆い、特に壁際では何も見えなくなります。
カメラワークというハンデを常に背負って戦わねばなりません。
壁際に追いやられた場合、成す術もなくやられることは珍しくないです。
モンスターよりもカメラワークのほうがはるかに難敵。
早急な改善を求む!
このカメラワークがワイルドハーツの狩りの良いところ9割を打ち消してしまっています。
あまりにも邪魔な小型モンスター
獣との戦闘でひたすらに邪魔な小獣。
ちょっと小突いてくるだけで攻撃が中断されるし、からくりが設置できなくなる問題が生じます。
戦っている大型の獣の子供や子分的な小型モンスターが共闘しているのであればわかりますが、全く関係ない小獣が積極果敢にプレイヤーだけを執拗に狙ってくるんですよね。
本当に邪魔すぎます。
これも早急な改善を求む!
カメラワークのクソさと小型モンスターのクソさが相乗効果でプレイヤーを襲ってきてストレスがたまりまくります。
あいまいな当たり判定
避けたはずの獣の攻撃が遅れて当たったり、獣の目の前で振り下ろした攻撃が当たってなかったり、いろいろ雑な当たり判定にされています。
特に気になったのは飛燕刀のR2攻撃。
あれの当たり判定は一体どうなっているのでしょう。平気で獣をすり抜けやがります。
逆にプレイヤーに対しては、からくりで壁を設置していても獣の攻撃位置次第ですり抜けて当たるのでイラっとさせられます。
もうちょっとからくり優位の設定にしてくれ。
ぼやけたグラフィック
アップデートで少し改善されたような気がしますが、正直PS5のゲームである必要性がないほど粗いです。
スクリーンショットを撮るとよく分かります。
動きのない場面かつ3840×2160の画質でもぼやけて見えます。
余裕でPS4でも動くレベルのグラフィックなのだから、PS4でも発売すればいいのに。
とにかく説明不足
武器の使い方やスキルの効果をはじめ、ありとあらゆるものが説明不足。
似たようなゲームをやっているからある程度予想は付きましたが、今作が狩りゲー初の人の場合、訳わからないことになるでしょう。
それでうまく立ち回れずに獣が倒せなくて諦めて断念しているプレイヤーは多いと思われます。
「一定時間攻撃が上がる」が何秒なのかでスキルの組み方が大きく変わるんですけどね…。
いろいろパクリすぎ
本作は良いところも悪いところも既存の狩りゲーを真似て作られています。
なぜに欠点を改善しストレスのないように改良しないのでしょうか?
カメラワークの悪さを筆頭に、小型モンスターが邪魔してくるのは非常にストレスフル。
いろいろ説明不足なのも小型モンスターにイラつかせられるのも素材名もスキル名もモンスターデザインもつくも(オトモ)の存在もどこかしら既視感が漂い続けます。
唯一のオリジナル要素はからくりくらい。
しかしその「推し」のからくりも・・・
ちょっとした段差・斜面でもからくりが設置できない
ほんのわずかな段差・斜面でもからくりが設置できなくなります。
一瞬の判断ミスが命取りになる戦闘においては致命的な欠陥です。
これで壁を構築できずに何度攻撃を喰らったことか…。
また、からくり設置中に少しでもズレてしまうと目的のからくりが構築できなくなります。
糸(素材)をロスしてしまううえに、上と同じく敵に攻撃されてテンポが台無しに…。
プレイヤーが不利になるからダメとかではなく、とにかく萎えるんですよ、この仕様。
これも当然に早急な修正を望みます。
焼き増しが確定しているアップデート
ただでさえモンスターの種類が少ないのに、早々に亜種(色違い)が登場する本作。
後半は5~6種類をひたすら繰り返し戦っているような気分になります。というか実際そう。
アップデートでモンスターが追加されるようですが、これもほぼ色違いばかり。
そもそものモンスター数を増やしたほうがいいのでは?
亜種ばかり追加されても何もうれしくないですし。
そんなすぐに追加できるなら最初から入れといてくれ
それにモンスター追加よりも優先すべきはバグとカメラワークの修正だろ?
と言いたくなります。
そのほか煩雑で大雑把なところ多数
獣エリアまたいで逃げすぎとか獣の生態が「ワイルド」からかけ離れすぎだろとか移動用からくりいつの間にか壊れてる問題とかL2ボタン何回押させるんだよとかUIが面倒すぎるとか共闘するNPCがいないとかジャンプに慣性付きすぎとか護符はコスト制でなくていいとか、
気になった細かいところを挙げるとキリがないので省略。
近年のゲームに多いけれど、アップデートで修正すればいいってものじゃないと思います。
だって、改善や改良ならともかく、マイナスをゼロに戻してる(戻そうとしてる)だけじゃん。
それで喜ぶのは朝三暮四の猿くらいでしょう?
長所・魅力・面白い要素
ダメなところを散々挙げたので、以下からは良いところを紹介。
上述の欠点がありつつも、プラチナトロフィー取得まで楽しめるとは、ポテンシャルの塊です。
「からくり」を用いた狩り
本作の醍醐味はこれに尽きます。
唯一無二にして至高。
からくりのからくりによるからくりのためのゲームです。
もし本作にからくりがなければ…いや、そんなワイルドハーツは想像したくもありません。
「からくり」の種類は実に多岐に渡ります。
壁を張って獣の突進を止めたり、巨大なハンマーをぶちかましたり、閃光弾を飛ばして撃墜させたり、罠を仕掛けて獣を捕縛したり、
また、お香を焚いて体力を回復させたり、プロペラを作って空を飛んだりも可能です。
からくりの組み合わせで多種多様なギミックを構築できます。
使用武器やプレイスタイルでどのからくりを選ぶかプレイヤーの個性が出るのも面白いポイント。
獣との戦闘中にいかに瞬時に的確にからくりを構築できるかによって、難易度&面白さが大きく変わります。
欠点で挙げた設置時の不具合がなければ完璧なシステムと言っても過言ではないでしょう。
オンラインプレイ時には、他のプレイヤーもどんどんからくりを設置するために、画面がとにかくド派手で賑やかになるのも楽しいです。
他プレイヤーが設置したからくりもそのままフィールドに残るので、勝利後は激しい戦いの傷跡を眺めて悦に浸ることも(笑)
からくりを用いた狩りを体験してみるだけでも、このゲームをプレイする価値は大いにあります。たとえバグが多くてもね。
それくらい画期的な戦闘システム。
ワイルドハーツは99%からくりで構築されたゲームである。
これに異論はないでしょう。
からくりによるマップ(狩場)の整備
からくりは獣との狩りのみに用いるものにあらず。
からくりを使ってフィールドを自分でカスタマイズできるのも本作の魅力です。
獣の出現位置や逃走ルートに合わせて、移動手段や拠点を配置すればストレスなく狩りができます。
(というか、獣がダメージ量により確定で逃げる仕様上、狩場のカスタマイズは必須だけども)
助太刀に来たプレイヤーが便利な位置に移動からくりを残してくれることがあり、そんな設置場所もあったのかと新たな気づきを得られるのも良いですね。
逆に助太刀に行ったときは、便利な位置に設置してあげたりもしました。
また、戦闘にも移動にもまったく無関係なからくりはお茶目な要素でけっこうお気に入りです。
狸の置物や風鈴を並べてみたり、狩りの前に風呂に入ってみたり、一見無駄に思えるようなシステムもゲームでは大切なポイントだと思います。
なんだか「余裕」や「奥行」を感じられますからね。
オンライン狩りの共闘感は随一
これまでの狩りゲーはそれぞれが好き勝手に攻撃しまくるといった感じの協力プレイでしたが、
(せいぜい味方を回復してあげるくらいのような気がする)
本作は協力して戦っている感が既存のそれらよりも桁違いに大きいです。
からくりを共有して戦えるのがその一番の理由でしょう。
からくりは最大4種しか持てないので、使えないからくりも出てきますが、味方がそれをカバーしてくれるのです。
他プレイヤーの作った羽を使って攻撃を回避したり匣を使って攻撃したり、壁を作り出して攻撃を防いであげたりなど、ソロプレイではできない戦闘を楽しめます。
また、本作は体力が尽きても一定時間内に他プレイヤーが救援に来てくれれば、その場で復活可能です。
これも共闘感味わえる親切でありがたい仕様。
たいていみんな急いで駆けつけてくれるので、非常に助かりました。
助けてもらえればこちらもすぐに助けに行こうという気になるし、「情けは人の為ならず」を表したようなシステムですね。
たまに味方の設置したからくりに乗って思わぬ動きをして攻撃を喰らうとかはありますが、
間違っても、自分の攻撃で味方がこけるようなことはないし、味方の攻撃で自分の攻撃が中断されるなんてことにもなりません。
そんな意地の悪い仕様になってないのも個人的に重要な評価ポイント。(小型モンスター除く)
8種の個性的な武器
全部で8種の武器があります。
からくり刀・野太刀・弓・槌・傘・大筒・飛燕刀・変形棍
からくりを意識しているためか、ギミックのある武器が多いです。
からくり刀は解放状態になると鞭のようにしなる範囲攻撃ができますし、変形棍に至っては5つもの武器に変形します。
また、傘や飛燕刀など立体的なアクションを楽しめる武器も魅力。
双剣好きとしては飛燕刀は理想的な武器した。
まだ触っていない武器があるので、それも含めてこれからも楽しめそうです。
(野太刀だけは変形もしないし、からくりとのシナジーも少ないし、大幅なテコ入れが必要な気もしますが…)
「介錯」システム
獣にとどめの一撃を刺す演出「介錯」システム。
音楽も相まって非常にテンションが上がります。
最後に一礼するのもいいですね。あざとさも感じますが(笑)
でも介錯した後、素材を剥ぎ取る必要がないのは楽だけど少し味気ないかな。
介錯可能状態になると獣はそのまま放置できるので、その間に他の素材を集めたり小獣を狩ったりしていました。
このよく分からない自由度は好きですね。
オンラインでは介錯の奪い合いが起きるのも面白いです。
いや、ホストに譲ってやれよ、とは思いますが。
獣の種類によって介錯の攻撃パターンが変わればもっと良いシステムになるでしょう。
その他Goodな要素
その他良かった点を以下に列挙します。
- 武器操作がシンプル(比較的)
- 防具を選ばない武器が多い
- よって色んな武器を試しやすい
- 武器に付けるスキルを選べる
- 武器の作り直しが可能 素材が戻ってくる
- 追加素材だけで防具が2つになる
- 余計な戦闘用アイテムがない 回復薬オンリー
- 獣の動きがパターン化していて読みやすい
- 攻撃を簡単に回避できる(比較的)
- よって上達を味わいやすい
- 獣に攻撃するまで戦闘状態にならない
- 他の大型獣が乱入してこない
- 夕暮れの風景
- クセのない登場キャラ
- 髪を下ろしたなつめ
感想まとめ:ワイルドハーツとは99%のからくりと1%の…
プレイ開始から5、6時間は「なんでホグワーツレガシーにしなかったんだ?」
とひどく後悔しましたが、使えるからくりが増えてきてその有用性に気付いてからは寝る間を惜しんでプレイしていました。
最近は映画かドラマを観るくらいで、ゲームする気力なんてなかったのにもかかわらず。
おかげでゲーム熱が少し再燃した気がします。
PS5買っといて良かったなと思わせてくれた点でも価値があるゲームです。
難易度については、
攻略サイトや動画などはまったく見ずにプラチナトロフィー取得&クリア後の獣4体+猿1体をソロ討伐できましたし、
当初巷で言われていたような死にゲーでは決してありません。助太刀システムもありますからね。
(いろいろ説明が足りなすぎるせいで難しくなってるのは確かだけど。あとカメラワーク)
某死にゲーおよび死にゲー全般を超絶酷評していた私が言うのだから間違いないです(笑)
それに、個人的に感じたストレスは、某狩りゲーに比べれば100分の1以下、某死にゲーに比べれば1000分の1以下でした。
戦闘を複雑にしつつも多種多様な選択肢を与えてくれる「からくり」という存在。
これがあることによって、創意工夫と迅速な判断を求められます。
そのため、頭を使っている感覚が著しく、上手くはまった時にはとてつもなく高い興奮・高揚感・爽快感を味わえるのです。
本作は、戦略と戦術ある能動的なアクションを楽しむことができます。
これらは私が酷評していた某死にゲーには皆無でした。
だから今作は全くもって死にゲーなんかではありません。
言うなれば『からくりゲー』です。
続編が出るならば、そして、制作スタッフが意味不明な思い違い(例えば、からくりを全く使えなくするような獣やからくりを無効にする技の追加など)をしなければ、確実に神ゲーになれるポテンシャルを秘めています。
「ワイルドハーツとは99%のからくりと1%の煌めきである」
ということで、次回作でこの1%の煌めきに期待することにしましょう。
(個人的に、神ゲーになるために参考にすべきは他の狩りゲーではなく『お姉チャンバラ』だと思ってます笑)
以上、『WILD HEARTS(ワイルドハーツ)』(PS5)のレビュー(感想と評価)でした。
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