『Crow Country(クロウ・カントリー)』は、初代PlayStation時代のサバイバルホラーを彷彿とさせるビジュアルと手触りを、現代的な遊びやすさで再構築した“レトロサバイバルホラー”です。
ただ懐かしさに浸るだけの作品ではなく、あの時代の緊張感や探索の面白さを今のプレイヤーがしっかり楽しめる形で甦らせています。
以下、本作の魅力を項目ごとにレビュー。
PSカタログにあるので、興味ある方はぜひプレイしてみてください。
プレイ時間:12時間(プラチナトロフィー取得まで)
プラットフォーム:PS5、Steam
世界観・ストーリー
舞台は1990年、怪物がはびこる遊園地「クロウカントリー」。
主人公マーラは、行方不明となったオーナー、エドワード・クロウを追ってこの地にやってきます。
まず目を引くのは、初代PSを思わせるローポリゴン調のグラフィックと固定カメラ風の構図。ですが、単なる過去作品の再現ではありません。
崩れた遊具、古びた案内板、放置されたゴミ……など、園内の造形や小物のデザインは非常に作り込まれており、現代でしか表現できない物量が詰め込まれています。
そして特筆すべきは、重苦しいはずの状況の中に漂う、どこかコミカルでユーモラスな空気感。
マーラやサブキャラクターの言動、オブジェクトのテキスト説明などに、くすりと笑ってしまう軽妙さが散りばめられているのです。このバランスが絶妙で、ホラーだけの一辺倒にならず、探索そのものを楽しい体験にしてくれます。
ストーリーも意外なほど丁寧に作られていて驚きました。
序盤から何度も示唆される要素が終盤できちんと回収され、「なるほど、そういうことか」と膝を打つ展開が待っています。伏線は決して難解ではありませんが、気づいた時の納得感が気持ち良く、物語としてしっかり“オチ”がついている点は非常に高評価。この伏線回収は本当に好きですね。
キャラクターについて
主人公マーラ・フォレストは、本作の大きな魅力の一つ。
特別捜査官という肩書きに反して、彼女はとにかくお茶目です。
とぼけたことを言ったり、軽口を叩いたり、状況に対して妙に冷静だったりと、プレイヤーの緊張をいい具合に和らげてくれる存在になっています。
彼女の外見的特徴である紫色の髪や「若く見られる」という設定も、単なるキャラクター付けで終わりません。すでに上述しましたが、物語の中でそれらがきちんと意味を持ち、要所で回収されるのは実にお見事。
こうした細かい設定が後から効いてくる構成は、ストーリーへの没入感のみならず、作品自体の完成度をぐっと高めています。
また、マーラのキャラクター性は、プレイしているうちに不思議なほど馴染んできて、「続編が出るならまた主人公であってほしい」と思えるほどの愛着を感じました。ホラーゲームにおいて操作キャラクターへの愛着は非常に重要ですが、本作はその点もしっかり押さえられています。
戦闘について
戦闘は、いかにもクラシックなサバイバルホラーらしい手触りです。
まず、照準がなかなかに合わせづらく、慣れるまでは苦労しました。
しかし、マーラ自身の移動スピードが速めに設定されているため、操作に慣れてくると軽快に立ち回れるようになります。このスピード感は、このジャンルの中でもかなり遊びやすい部類に入るくらい快適です。
いわゆるタンク操作(ラジコン操作)も可能ですが、カメラを比較的素早く回せるため、昔ながらの固定カメラ視点のような窮屈さはほとんどありません。レトロな雰囲気を残しつつ、現代的な快適さをきちんと取り入れてくれています。
本作で厄介なのは敵よりも「罠」。
園内の至る所にトラップが仕掛けられており、うっかり踏むと体力を大きく削られることがしばしば。とはいえ、この緊張感が探索に程よいスパイスを与えてくれます。
ただ、ゲームバランスは非常に親切。
敵は数こそ多いもののそこまで強くなく、無理に倒さなくてもスルーして進めます。そのため、回復薬よりも弾薬のほうが余ることが多いです。
ハンドガンの弾がゼロになっても車のトランクから補充できたり、回復薬や解毒剤が不足しているときにはゴミ箱や自販機を調べると“ちょうどよく”見つかるような配慮まであったり、救済措置が周到に用意されているので詰む心配がありません。
敵が襲ってこないモードもあり、ホラーが苦手な人でも安心してプレイできる珍しいサバイバルホラーゲームとなっています。
敵が大量に出てくるのに、戦闘そのものが理不尽に難しくない。
この詰まないように考えられた絶妙なバランスが、「クラシックなサバイバルホラー」としての完成度の高さおよび心地良さを生み出しています。
謎解きについて
謎解きは、なかなか骨のある難度です。
難しいのはパズルそのものよりも、「どこに何があるのか分かりにくい」エリア構造にあります。マップが非常に覚えにくく、アイテムを拾っても「これをどこで使うんだ?」としばらくうろうろすることが多々ありました。
ヒントテキストと実際の仕掛けがすぐに結びつかないこともあり、時間を空けて再開するとより混乱します。
救いなのは、アイテムを使える場面では自動でアイテム画面が開くこと。昔の作品のように「使えるかどうか総当たりで試す」必要がなく、非常に判断しやすいです。
謎解きは難しめですが、面白いことにヒントをくれるカラスがいます。場合によっては全く役に立ちませんが、こうしたシステムがあるだけで探索にちょっとした楽しみが生まれますし、ユニークさを感じられて好印象。おかげで、攻略サイトに頼らずにクリアできました。
まあ、エリアを徘徊し、“迷う時間”こそがサバイバルホラーの醍醐味ですからね。
シークレット要素15個の回収はやや難しめ。頭をひねるというより、「気づけるかどうか」がカギになる作りになっています。それでも『Tormented Souls』などと比べれば、はるかに易しいです。
クリア後要素も用意されており、サバイバルホラー好きにきちんと配慮した作りになっています。

システムについて
ホラーゲームにしては軽めの世界観に見えながら(おそらく等身のせい)、意外にも読み物が多いです。
このジャンル特有の読み物で世界が詳らかになって、奥行きを味わう感覚、また、恐怖心を煽る効果をしっかり味わうことができます。
本作で何よりありがたかったのが、セーブ回数無制限なこと。
セーブ回数制限があると、時間を確保できない場合にやりにくいですからね。本作は、クラシックな雰囲気をまといながら、プレイヤーに余計なストレスを与えない設計になっています。
総評:続編を出してほしいクオリティ
『Crow Country(クロウ・カントリー)』は、単なるレトロ風サバイバルホラーではありません。
あの時代の空気、探索の楽しさ、少し不便な操作感、そしてじわじわと迫る不安。それらを丁寧に再現しつつ、今どきのゲーマーも快適に楽しめるよう絶妙に調整された作品です。
コミカルなキャラクター、しっかりとオチのあるストーリー、程良い戦闘難度、迷いながらも着々と進められる謎解き、そして豊富な読み物。
これらのおかげで、気づけばこの不気味な遊園地を、隅々まで歩き回りたくなることでしょう。
実際、最後まで(プラチナトロフィー取得まで)“楽しんで”プレイできたサバイバルホラーは非常に稀有です。
かつてPS時代のサバイバルホラーに夢中になった人はもちろん、レトロな雰囲気に惹かれる現代のプレイヤーにも、ぜひ手に取ってほしい一本となっています。
続編待ってます。
以上、『Crow Country(クロウ・カントリー)』のレビュー(感想と評価)でした。









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