長い年月を経てようやく発売された『絶体絶命都市4Plus -Summer Memories』
 1周クリアした時点でのレビューを書いていきます。
 正直、あまり期待していませんでしたが、予想外の方向で楽しめました。
プレイ時間:15時間ほど
地震で崩壊した街を遊び歩く主人公
私はこのシリーズに特に思い入れがある訳ではありません。
 1作目を実況動画で見たくらいです。
 ですが、このゲームがどういうものなのかは理解していました。
 だから、体験版をやってみても購入意欲が削がれることはなかったのです。
 何より発売されるということ自体が奇跡のような作品。
 ゲームとしてのクオリティについては初めからどうこういうつもりはありません。
 そのうえでのレビューとなります。
が、
 なんだこれ?
まったく絶体絶命感ないんですけど!
主人公が地震で壊れた街を遊び歩いているようにしか見えない!(笑)
空腹も喉の渇きも尿意もおまけのようなもの。
 食料が足りなくてヤバい状況になるとか、飲み水がなく脱水症状になるとか、そんなことは一切なかったです。
 そういえば、季節は夏でしたね。
 夏だったことも忘れるくらい、何も生命の危機は訪れませんでした。
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いや、まあ、自分が選んだ選択肢のせいなんですけどね!
まじめな選択肢もいくつかありましたけれど、面白そうなのを選びたくなるのは、人間の性というものでしょう。
 ふざけた選択肢の魔力に抗うことができなかった…!
まるで危機感も恐怖感もなく飄々と遊び歩いてしまいました。
「必ず帰るから…」
うん?
あれ?
主人公って家どこなの?というか本当に帰る気あるの?
 バックボーンがまるで伝わってこないからどうにも深刻さが出ない。
ホント、主人公、この街に何しに来たの??
とかいろいろ言いつつ、結局、普通に楽しみながらエンディングを迎えました(笑)
一切、震災シミュレーションゲームとは思わないほうがいいですね。
 「THE バカゲー」です。
いや、まあ、楽しめてよかったです。
 予想と全然違いましたけど。
 (バカゲーなのは分かっていたけれどここまでとは…笑)
「排せつ欲求」システムについて
おそらくこれが今作の肝。
 心待ちにしていた人も多いのではないでしょうか。
しかし、実際はいたるところにトイレがあるので、まったく困りませんでした。
 限界まで我慢したらどうなるのでしょうか。ゲームオーバーになるのでしょうか。
 興味がある方はやってみてください。
今作で一番困惑したのが、女主人公なのに男用小便器で用を足せてしまうこと。
一瞬目を疑いましたね。自分の常識を再確認しました。
 あれ?普通、女性って立って用を足さないよね?そうですよね?
当然のように始めるものだから驚きました。いや、しかし、これがバグなら気付かない訳がない。
 緊急時だからそんな細かいこと気にするなって?そういうことですか?
 それならまあ、仕方ない…のか?
おそらくこれ製作者さんの性癖だと思うんですよね。
 こんなあからさまなミスを修正し忘れるはずがない。なにせもうver.1.05だし。
 うーん、マニアックですね。
所々に見える人間の醜悪さ

 (体育館ステージで優雅にソファに座る主人公。みんな地べたに雑魚寝なのに…)
このようにバカゲーであるのに、それに反比例してシナリオはけっこうエグイ部分も多かったです。
主人公が緊張感のかけらもないおバカな行為をやっているうちに、深刻な目に合う登場人物もいました。
 もしかして全部主人公のせいなんじゃ…?
確かに、地震は恐いです。
 特に日本では震度7レベルの地震がいつ起きてもおかしくないですしね。
でも、地震よりも恐ろしいのは人間そのもの。
 もしかすると絶体絶命都市4ではそれを伝えたいのかもしれません。
ゲーム内に地震の混乱に乗じて好き放題やる人物が何人も出てきますが(主人公含む)、それらの人物が何の罪に問われることも報いを受けることもなく、物語は終わりを迎えます。
 逆に、何の罪もないような善良な人物だけが悲惨な目に合う、あるいは、死んでいくんですよね。
カタルシスを味わうことも、感慨に浸ることもできません。
 後味の悪さだけが残ります。
ゾンビ映画なんかでよくありますよね。ゾンビが脅威だったはずなのに、結局、人間同士で争いだすこと。あれに近いものがあります。
人の本性は、極限状況だからこそ表出するもの。
 地震が起きて混乱しているから、人間がおかしくなるのではありません。
 元からそういう人間が本性を現すだけなのです。
人間はなぜ、かくも愚かなのか…。
ゲーム冒頭で投げかけられる質問(もしあなたが知らない街で大地震に遭ったら…)には、プレイヤー自身の人間性を見つめなおさせる目的があるのかもしれませんね。
 (たぶん深く考えすぎ)
ゲームとしての評価
PS4のゲームとは思えません。正直なところ。
 でも、そんなのはどうでもいいんです(正確に言うと、欠点を挙げるとそれだけで激しい後悔に襲われるので目をつむります。なぜ定価で買ってしまったのか…)。
少なくとも、「1周目とは違う選択肢を選んでみようかな」と思って2周目を始めるくらいには楽しめましたから。
 それだけで満足です。
けっこう大きな地震がいくつかあった後の発売だし、多少、まじめなゲームになっているかな、と思いきやこれですからね。
逆によかったです。ここまで振り切ってくれて。
 こんなに震災と関係ない(まったく悲壮感のない)主人公だとは予想もしなかったですし。
 (比嘉先生が主人公で、生徒たちを救うゲームだったほうがよかったのでは…?)
大作ばかりのPS4。
 そんな中でたまにはこういったゲームを息抜きにやるのは案外いいかもしれません。
 主人公がアホすぎて、肩の力が抜けますし。
興味がある方には、おすすめします。
 B級映画の鑑賞方法が分かっているような方でないと楽しめないかもしれませんが…(笑)
以上、『絶体絶命都市4Plus -Summer Memories』のレビューでした。

 








コメント
初めまして。まとめサイト等で拾う感想とは切り口が違って面白いなと感じたのでコメントさせていただきます。
カタルシスの無いエピソードが多かったのは取材で入手した本当にあったお話を多少の脚色はあれどワザとそのまま使っているのではないかと考えます。
情報がスピード化され、拡散しやすくなり、救助復旧活動も合理化されてサバイバルの必要性は薄れて代わりに露になったのは771さんの言うように人災や犯罪、人とのトラブルなのかもしれません。
あえてそれをテーマにしているのだとしたらそれぞれが対策して答えを出さなくてはいけないので投げっぱなしジャーマンも仕方ないのかもしれないですね。
や、大味すぎるだろうとは思いますがw
コメントありがとうございます!
なんだかんだ文句言いながら結局プラチナトロフィー取得しました(笑)
どんなにつまらないゲーム(小説・映画・漫画)であっても、面白さを見出すことができるはずだと私は思っています。
でも、人生は有限なので取捨選択しなければならないことが多々ありますよね。
そんな時、選択が間違っていないと確信できるように、私は無理やり意味を持たせます。
絶体絶命都市4は、その点さまざまな意味を持たせやすかったのでしょう。
そう、面白くないことは罪ではないんです。
しかし、クソゲーは人災そのもの。このゲームのテーマは「罪を憎まず人を憎む」がふさわしいかもしれません(笑)