ホラーアドベンチャー『廃深』(Switch/Steam)のレビュー(感想&評価)です。
2が発売されたようなので、積んであったことを思い出しプレイ。
全エンディング回収して5時間ほど。
寝転がって気軽にできる程良いホラーゲームでした。
セール時には半額以下になっているので、主人公3人にちょっとでも興味が湧いた方はプレイしてみてはいかがでしょうか。
ホラー目的の人はプレイしなくても無問題。
プレイ時間:5時間
『廃深』概要とストーリー
ゲーム概要
本作は、襲い来る謎の殺人鬼(豚の着ぐるみ)から逃げながら、廃墟となったホテル内を探索し、アイテムやヒントを手掛かりに謎を解き、脱出を目指す横スクロールアドベンチャーゲーム。
豚の着ぐるみは血にまみれた鉈を引きずりながら、廃ホテルを徘徊しています。
近づけば即座に殺されるので、見つかった場合は小部屋や柱の裏に隠れてやり過ごしましょう。
鉈を引きずる音がなかなかに恐怖感を煽ってくれます。
逃げるスリルを味わいたいホラー初心者にはちょうどいいかもです。
ストーリー
動画配信者である生駒、桜井、白石の3人は、「廃墟へ撮影に行きたい」という桜井の提案で、地元で有名な心霊スポット『ホテル イザナミ』へと訪れた。
とりたてて大きな逸話があるわけでもないよくある心霊スポットでの撮影。
何事もなく撮影を終え、ホラーっぽい動画が作れればいい――ただそれだけだった。
撮影中、一人はぐれた生駒は、突如動き出した着ぐるみに襲われる。
その後も閉じ込められたレジャーホテルの中で数々な危機に襲われる3人。なぜ着ぐるみは3人を襲うのか、どうしてホテルに閉じ込められたのか。
はたして 3人は、無事にこの廃レジャーホテルホテルから脱出することはできるのか――?廃レジャーホテルを舞台に命をかけた動画配信がはじまる―
引用:公式サイト
今や猫も杓子もやっている動画配信をネタにしたストーリーです。
今時の若者を上手く描けているんじゃないでしょうか。
(カセットテープって何?ラジカセって何?初めて見た!というシーンに隔世の感がありました。笑)
美少女3人が集まって何かやるところを動画にすればそれだけで(ある程度)視聴数稼げそうな気がしますけどね。わざわざ心霊スポットでなくとも。
動画配信はホテルに来るきっかけとなるだけで、ほぼ意味ありません。
白石が桜井に、ドッキリ仕掛けて楽しんでるんじゃないの!?とキレるシーンがありますが、正直、二重三重のドッキリの仕掛け合いだったら面白かったのになあと思います。
まあ、この手のゲームに多くを求めてはダメです。
良かったところ・特徴・気に入った点
シンプルに良かったところは、かわいいキャラクターを操作できることですね。
案外、ホラーゲームで普通の大学生(かどうかは明示されてない)が主人公になることが少ないので、新鮮に感じました。
やること(やれること)も多くないし、気軽にプレイできるホラーとしては満足です。
豚の着ぐるみはエリアチェンジしても執拗に追いかけてきますが、隠れればすぐに見失ってくれます。
鬼ごっこ形式のゲームだと、プレイヤー絶対に殺すマンと化すことも少なくない中、このシンプルさは高評価。
相手に空振りさせてその隙に横を抜けられることに気付けば、さらに楽になります。
謎解きに悩んでいる時に出現しまくるとただ面倒で飽きてきますが。
主人公が3人いるので、操作キャラを切り替えられるのもいいですね。
まあ、特に何か変わる訳ではないんですけども。
息遣いとパンツの色の好みで選ぶといいでしょう。
あと、主人公の声が震えるのに合わせて、テキストも震えるのは面白いなと思いました。
こういう細かいところは大事。
梓(白石)と奈々(桜井)が言い争うシーンが無駄に迫真の演技なところも良かったです。
「これ声優の人ら、こういう言い合い絶対経験あるだろ」と思うくらい無駄にリアル。
<女3人で旅行に行くな>という格言(?)の意味を今更ながら理解できました。笑
ゲーム自体の尺が短いからか、すぐに仲直りするんですけどね。
とにかく、プレイヤー層(視聴者層)を的確に狙ったゲームです。
動画配信をネタにしているだけあって、ゲーム実況者がプレイしやすい(コメントでも反応されやすい)ように作ってあります。
「ちょっとしたホラー要素にお色気要素(美少女キャラ)が混ざっていれば、それだけであいつらは飛びつくからチョロいもんだぜ!」
そんな制作者の声が聞こえてきます。
実際、思惑通り見事成功しているから、2が発売できているんでしょう。
ツッコミどころ・気になった点・残念な点
本作は、所々に強制詰みポイントが発生するのが難点。
複数に分けてセーブするという習慣がなければ最初からやり直しするはめになります。
しかもプレイヤーには詰んでいるかどうかが判断できないのが何より問題です。
気付かなければ延々とホテルを彷徨うことになるでしょう。
私はセーブを分けるクセはついているのでなんとか回避できましたが、もし詰まってやり直しになってたら問答無用で積みゲーに逆戻りでしたね。
詰みポイントだけでなく、アイテムの位置が分かりにくいのも難点。
見つけにくいアイテム、どこで使うかわからないアイテムが多数あります。
特に、序盤の瓦礫の上にある鍵。非常に見つけにくいです。あれは脈絡ないし意味不明すぎ。無駄に時間取られました。
さらに、謎解きシーンも分かりにくい!
序盤の風呂場での謎解きシーンは勘でやるしかないから全くもって面白くなかったです。
排水溝にゴミが詰まってるとか見えもしない(イラストに描かれていない)のに分かるはずがありません。
ポイント&クリック方式のゲームは全部こうなのでしょうか?
隅から隅までクリックしてようやく謎が解けたとしても何の面白味もないことが分からないんでしょうかね。
もっとスマートにアハ体験を感じさせるような解決策を提示してほしいです。
画面を動かせるタイプのゲームならそれでもいいんでしょうけど、1枚絵のシーンで見えないところにオブジェクトを置くのはどう考えても邪道。
卑怯でひねくれているとしか言いようがないです。このタイプのゲーム制作者はみんなひねくれるのでしょうか。いや、ひねくれている人がこのタイプのゲームを作るのかもしれませんね。
不快な謎解きと言い、露骨な客寄せパンツと言いい、『慟哭、そして…』を思い出しました。
ああ、不快な謎解きと言えば、釘で打ち付けられた板を外す場面で、釘抜き金づち(ネイルハンマー)を持っているのに、なぜか、鑿(のみ)を使用しないと外せないシーン。
あそこは最高に意味不明でした。これもしかしたら、制作者もカセットテープを知らない世代かもですね。あるいは、単に物を知らないだけか。
金づちでのみを打ち差し込んで梃子の原理で開けたのなら分かりますけどね。
(のみ単体では差し込むのにも相当な力がいるはずですし、できたとしても、それだと「釘」で打ち付けられた板である必要性がない)
まあそれ以前に、カセットテープを知らない主人公たちが金づちやのみの使い方を知っているとは思えませんが。
ホラーゲームでしかバールやネイルハンマーを見たことがない人たちは、割と本気で人を殴る(物を壊す)ための道具だと思ってそうで恐くなりますね。笑
それから、エンディングが複数ありますが、自力で全エンディングに行くのは非常に難しいです。
(主に、わざわざこのゲームを自力でやる価値があるのか?という問答が発生するため)
上記の諸々のせいで詰まりかけつつも1周目はクリアできましたが、エンディングが複数あることを知って絶望しました。
クリアしても他エンディングのヒントなんか出ないし、ストーリー的に何をすればトゥルーエンドなのかも見当がつきませんし。何よりストーリーに興味湧かないし…
その状況で、「よし、残りのエンディング埋めるぞ!」とはなりませんよ、普通。
さしてやり込まないプレイヤーは最初のエンディングだけ見てそのまま終わっているでしょう。
クリア率20%未満のゲームはよく見かけますけど、制作者さんたちそれでいいの?ゲーム作った甲斐ありましたか?と思ってしまいます。
果たして本作の自力でのクリア率はどれくらいでしょうかね。
正規ルート、あるいは、トゥルーエンドがあるのなら、そこにたどり着くようにヒントをちりばめて向かわせる(やる気にさせる)のは、制作者の義務でしょう。
ストーリーがあるゲームでそれをおろそかにしてるのは非常にナンセンス。
終わりに。
昨今のコンテンツによる人の時間の奪い合い。
YouTube見ますか?ゲームやりますか?ソシャゲしますか?ドラマ観ますか?映画観ますか?etc.etc.
辟易しますね。
どれだけ人の時間を奪ったかが優れたコンテンツの指標になっている気さえします。
ゲームの場合、プレイ時間の水増しがあまりにもひどい。
無駄に難しくしたり手間を取らせたり、何度もやり直させたり…。
それをゲームのジャンルにまで錯覚させてるものもある始末。
ただの調整不足をゲーム性と言いきる厚顔無恥さ。
(昨今はリマスター、リメイクの連発も大概ひどい)
攻略見てただ終わらせるだけの(とっとと終わらせたくなるような)ゲームなんぞ、プレイする必要ないんですよ。
当然、YouTubeに上がってる動画見ればいいや、となりますよ。実際、それが賢いと思います。
時間もお金も無駄に取られないし。
本作『廃深』は値段以上の満足感は充分にあります。(※セール時の場合)
しかし、漏れなくと言っていいほど、なぜに、こんなゲームにすら、不快感(時間の無駄感)を抱かせる要素が含まれているのでしょうか。
この値段のこの手のゲームに、そんなものいらないんですよ。クソどうでもいいところで悩みたくないんですよ。
ボリュームが少ないことに不満は言いませんし、別に大して怖くなくても文句はありません。
細かい部分のクオリティとか一切求めていません。
普通にサクッとクリアできればそれでよかったのに…。
「ホラーゲーム」を求めている人に本作はおすすめできないです。
とりあえず美少女3人の怯える様子(とパンツ)を眺められればそれでいい、というプレイヤーにはおすすめします。
でも、それだったらなおさら動画観るだけでいい気がしますね!
以上、『廃深』(Switch/Steam)のレビュー(感想/評価)でした。
安いのでちゃんと買いましょうね↓ 私はもちろん2も買う予定ですよ、ホントダヨ。
続編のレビューはこちら↓
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