感想&評価『Marvel’s Spider-Man』をレビュー~大都会に立ち並ぶ摩天楼の間を縦横無尽に飛び回れ~

Marvel's-Spider-Man感想評価レビュー

『Marvel’s Spider-Man』(PS4)をようやくプレイし、プラチナトロフィーまで取得したのでレビューします。

発売日に買っておきながらプレイしてなかったシリーズ第一弾。
なぜもっと早くプレイしなかったのか。

噂に違わぬクオリティの高さで、アクションもストーリーも文句なしに楽しめました。
ゲームでこんな簡単にスパイダーマンになれるとは、本当に良い時代になったものですね。

プレイ時間:50時間

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君も今日からスパイダーマンだ!

街を移動するだけでも楽しい

移動するだけでも楽しいスパイダーマン

これほど簡単にスパイダーマンになったような気分になれるのはさすがのクオリティ。
細かい部分にまでプレイヤーを楽しませようという粋な計らいがありました。

とにかく移動が楽しいです。
ニューヨークの街を映画のように、ウェブスイングでびゅんびゅんと飛び回ることができます。

ビルの隙間を縫うように軽快に移動するだけでも、テンションが爆上がり。
初めのほうはストーリーそっちのけで、ひたすら街を飛び回っていました。

どんなに高いところから落ちても死なないのも良い点です。
くるりと前転するだけで衝撃をいなせるとは、やはりスパイダーマンやりおる!

ファストトラベルが使えるようになるまで移動が苦痛なオープンワールドは多いですが、本作はまったくそんなことは感じずに楽しめました。

まだこの移動の爽快感を体験していない方はぜひとも味わってほしいですね。

多彩なアクション

シンプルで爽快なバトル

スパイダーマンになった気分になれるのは、移動だけではありません。
多彩なアクションによるバトルでも「スパイダーマン」を体感できます。

ウェブを使ったテクニカルな動きに、スーツの特性を活かした多様な戦闘スタイル、そして、高機能なガジェットによる搦め手。
豊富な攻撃を駆使し、軽口を交えながら敵を翻弄していく姿は、まさにスパイダーマン。

様々な戦闘スタイル・攻撃手段がありながらも、操作が煩雑にならないのは、本当に考えられているなと思います。

ガジェットを使いこなそう

いくらスパイダーマンとはいえ、ちゃんと戦わないと普通のギャングにやられてしまうのもよく考えられたバランスです。

テキトーなプレイだと負けてしまうから、しっかり攻撃手段を選ばなければならない。
その場や敵に応じた、攻撃方法やガジェットを駆使する。
それによって、ボタン連打で勝ててしまう単調なバトルを防ぎつつ、スパイダーマン感を存分に楽しめる。

飽きが来ないよう工夫がなされていて至れり尽くせりと言った感じ。実によくできています。

映画を観てても思いましたが、身体能力が高くクモの糸が出せるだけで、こんなにいろんなことができるんですねえ。
これがアイデアの勝利というか、長年世界中で愛される理由なのでしょう。

はあ、スパイダーマンになりてえなあ…。

熱さと悲哀が同居するストーリー

テンション上がるムービーシーンも豊富

普段、スパイダーマンは軽口やジョークばかり言っているだけに、シリアスなシーンとの差が際立ちます。

映画もそうですが、スパイダーマンって案外話が暗いんですよね。
本当に子ども向けか?と思ってしまうくらいに。

ゲームではベンおじさんが死んでから数年後の話だし、ゲームだからそんなに暗い話にはならないのかなと思っていたら…。
そんなことは全然ありませんでした。ネタバレになるので詳細は語りませんが。

そう、コスプレしたくなるんですよね、スパイダーマンって

でもまあ、これぞ「スパイダーマン」というストーリーを味わえます。

スパイダーマンは、ヒロイックな王道アクションではないんですよね。
その一筋縄ではいかない展開が良いところでもあり、好きなところでもありますが。

熱いシーンと切ないシーンの緩急の付け方が非常に良かったです。
映画に近い興奮を感じられました。

ただ、映画しか知らない自分は、数多く出てくるキャラクターのほとんどが分からなかったのが残念でしたね。スパイダーマンは「やあ、久しぶり!」とか言ってますが、いや初登場では?と。

原作を知っているのが前提なのでしょう。
アメリカでは原作は当たり前のように人口に膾炙しているということですかね。

気になったところ

力の強さが分かるシーン

細かい動きが苦手

スパイダーマンはダイナミックな動きは得意ですが、細かい動きは苦手なようです。
ちょっとした位置調整ができず行きたいところにいけないもどかしさを何度か味わいました。
慣れるまではイラっとすることがあるかもしれません。

少し分かりにくいボス戦

イベント戦だから何らかのギミックを使わないと倒せないのか、それとも普通に攻撃しても倒せるのか、判別しにくいボス戦が多かったです。
スパイダーマンがプレイヤーにアドバイスしてくれることもありますが、若干タイミングが遅いのが気になりました。

日本語吹き替えしかない

個人的に一番残念だったのがこれ。
スパイダーマンはアメリカが舞台だから、やはり普通に英語をしゃべってほしかったですね。
PSのシステム言語を英語に変えれば英語音声になりますが、ゲーム内すべての言語が英語になってしまうため使えません。
なぜにこんな仕様なのだろう。

まとめ感想:『Marvel’s Spider-Man』をプレイして

スパイダーマンはストーリーも魅力的

私が映画含めてスパイダーマンを好きなのは、思い通りに行かないところです。

子供向けのヒーローものかと思いきや、けっこう陰鬱なイベントをぶちこんできたり、人間とは何かを考えさせるようなシーンがあったり、
とにかく、ピーター(スパイダーマン)は超人的能力を得ても、障害が何度も立ちはだかり人生うまく行かないことばかり。

そこにシンパシーを感じずにはいられません。

また、物語の基盤に自らの過ちで招いた伯父の死があるのも惹かれる理由のひとつです。

妻あるいは娘を殺されて奮起するような悲劇のヒーローにはない、どれだけ人を助けようとも常に付きまとう拭い去れない罪悪感やうしろめたさ。

その割り切れない感情が根底にあるために、スーパーパワーを持っていても人であることに囚われている人間臭さが、却って私の中で、奥行きと深みを感じられる魅力的なキャラクターに思えるのです。

スパイダーマンの葛藤や人間臭さは、生きるのがヘタクソな私に生きる勇気を与えてくれます。
ヒーローでさえ苦しんでるのだから、凡人の自分が苦労するなんてむしろ当然じゃないか?と。

定期的にスパイダーマンが観たくなるのは、人間味の濃厚な応援したくなるヒーロー像に、尊敬の念を抱かずにいられないからでしょう。

男は背中で語る

スパイダーマンの葛藤は、若者特有のものではなく、全人類が自身に問い直すべきかのような、皮肉めいたものになっているように思います。

スパイダーマンに助けを求める憐れな人々。
彼らは本当に被害者なのだろうか。都合の良い時だけ被害者を演じているのではないか。

このご時世、被害者であるという立場を武器に、他者を責め立てる卑劣な事例は枚挙に暇がありません。
自分の権利を主張するだけならいざ知らず、まじめに生きている人間の足を引っ張るのは論外オブ論外。

昔であれば路傍の石にさえなれないような人間が、今日ではあまりにも顕在化しすぎです。
<被害者無双>とでも言うべきか、現代に数あるイカれた現象の中でも、特に際立って狂っている現象でしょう。

そんな人間をわざわざヒーローが助ける価値があるのか。

ヒーローには絶対に攻撃を受けず、何もせずにヒーローを疲弊させる、最強の敵。それが「無力な人々」です。
無力という絶対的な力を傍若無人に振る舞う人々には、どんな天才もどんな超人も敵いません。

彼らに対抗できるのは、「悪」だけ。

悪がいない世界では、無力で無知な人間は被害者になることさえできず、ただの足枷になります。
故に人々は世界に悪を作り出すのです。

自分たちの存在が全く意味の無いものだと自覚できないように。
無知無能な自分たちの存在が罪深いものだと気づかないように。

人々は、悪の存在によって相対的にかろうじて余喘を保てているのです。

大自然もいいが、大都会に犇めく摩天楼もいいね

とはいえ、何かを一方的に悪だと決めつけられるほど、白黒がハッキリしていることはほぼありません。
それはスパイダーマンというヒーローが活躍するフィクション世界においてもそうなのですから、私たちの世界ならばなおさらでしょう。

誰かを悪に仕立て上げたい時というのは、得てして自分に非がある時です。

自分を見失いそうになったら、どうしようもなく行き詰ったら、こう考えてみることをおすすめします。
地球から人間がいなくなって困る生き物はほんの一種たりともいないと。

さて、これが本作『Marvel’s Spider-Man』に関係あるのかどうかはともかく、このご時世において、善と悪について考えるのはきっと無意味なことではないでしょう。

残念ながら、この世界に人々を守ってくれるスパイダーマンのようなヒーローは存在しませんからね。


以上、『Marvel’s Spider-Man』のレビューでした。


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