感想&評価『フォーゴットン・アン』をレビュー~雰囲気抜群のプレイするアニメ~

フォーゴットン・アン感想

『フォーゴットン・アン』(PS4)のプラチナトロフィーを取得したのでレビューします。

パズルと謎解き要素を多く含んだ2Dシネマティックアドベンチャーゲーム。
まるでアニメをそのまま動かしているかのような独特の世界観は、雰囲気抜群で自然とのめり込めるほど魅力的です。

思ったより難しい仕掛けが多く頭を悩ますこともありましたが、シナリオ・世界観ともに良質で、記憶に残るゲームとなりました。

プレイ時間:25時間ほど

独特の世界観とゆかいなキャラクターたち

忘れられたモノたちの世界

主人公アンの暮らす世界「フォゴットンランド」は、人々から忘れられたモノたちが行き着く場所。

この世界では、毛布、椅子、羽ペンなどあらゆるモノが意思を持ち、動き、しゃべります。
フォゴットリングと呼ばれる彼ら・彼女らは、いつか元の世界に戻ることを願って、日々それぞれの役割をこなしながら生きています。

人間であるのは、アンと師匠であるボンクの二人だけ。
アンとボンクはフォゴットンランドの秩序を守る者として、元の世界に戻るための装置「イーサゲート」を建設中。

そんなある日、町でいくつもの爆発が起きて…

というのが、あらすじになっています。

全編アニメーションになっていて、とても美麗で魅入るところが多かったです。

ナチュラルに口の悪いアン

美しいアニメ表現

ボンクの下で、執行官として働くアン
その役割のせいか、生まれつきなのか、非常に口が悪いです(笑)
アンの英語の発音が心地よく、その口の悪さと相まって非常に魅力的でした。

そのため、ストーリーを進めていく中でいくつも選択肢が出てきますが、ついつい高圧的な態度を選びがちに。
でも、物語の後半で世界の真相を知ってしまい、うろたえしおらしくなります。
そのギャップがまたいいんですよねえ。

アニマという生命力の源

アニマとはアニメーション

フォゴットリングたちはすべて、アニマという生命力の源を備えています。
このおかげで、思考と感情を持っていられるようですね。

アンは、このアニマを抜くことができる「アルカ」という手袋を身に着けています。
ボンクの考えに賛同しないモノたちを、“ただのモノ”にすることも可能です。

執行官としての役目を果たすか、情けをかけてやるか、それはプレイヤー次第。
どの選択をしたかでストーリーが細かく変化していきます。

考え動きしゃべるモノたち

モノが動くということ

それぞれに個性があって、とてもユニークで面白いです。
ちゃんと名前もついています。
(なぜかひとつだけレコードプレイヤーというそのままのモノも出てきますが…)

お気に入りはやはり「フィグ」(という名のポーズ人形)ですね。
声が良すぎる。性格もイケメン。
人だったらさぞかしモテモテだったことでしょう。

でも、登場キャラのほとんどが人ではないので、俗な話にはなりません。
だから、いい。
恋愛とかそういう話にならないからこその良さがあります。

音楽が秀逸ですばらしい

ストーリーに沿って作曲されただけあって、アニメーション表現以上に“アニメ映画”を感じさせてくれる美しい音楽が流れます。
本編クリア後(正確には…)には、ジュークボックスで自由に曲を聴けるのもうれしいポイント。
音楽が最後のご褒美的な要素に。
その価値はあると思います。


ストーリーは押しつけがましくなく考えさせられる

フィグを操作したかった

プレイヤーの選択次第で、キャラのセリフや展開の違いは出てきますが、大筋はだいたい同じ(のよう)です。

元の世界に還りたいモノたちとそれに反対するモノたちで二派に分かれ争うことになります。
プレイヤーであるアンはそのどちらに協力的になるか、どちらを信じるかが物語の主軸。

しかし、ゲーム全体の主軸はそこではない気がします。
意思あるモノたちと通じて、私たちが住む現実世界をどう見るべきなのか?
を問いかけられているような気持ちになりました。

説教臭くなく押しつけがましくなく、それでいて深く静かに確かな質量を持って、心の奥底に入り込んでくる。
そんな、自然とモノに思いを馳せたくなるようなストーリーでした。

余白の部分が多いので、ただクリアするだけでは分かりづらい部分が多いかもしれませんね。

おそらく、プレイヤーの選択こそが、選択の際に悩んだこと考えたことそのものが、ストーリーの一部なのでしょう。

しかし、日本語訳が残念

日本人が翻訳しているのか分からないほど、不自然な訳が散見されます。
セリフ送りが自動なので、映画と同じように文字数が制限されるためでしょう。

ただ、変換ミスもありましたし、タグが残ったままの文章もありました。
それくらいはしっかりチェックしてほしかったかな。

字幕を読みつつセリフを聞くと、より深く理解しやすくなると思います。


パズル・謎解きがなかなかに難しい

けっこう頭を使います

パズル・謎解きはおまけのようなものでストーリーを楽しむゲームかと思っていたら、その逆。
むしろ、メインがそれなんじゃないか、というくらいたくさんパズル・謎解きがありました。

話をよく聞き、日記をよく読み、辺りをしっかり観察すれば、スムーズに進めます。
しかし、仕掛けに気づけないといつまでもさまようことに…

致命的に詰むような謎解きはないのですが、なかなかに頭をひねらないと、話が進まなくなります。
列車には特に時間がかかりました。
気づくか気づかないか、だけなんですよね。終わってみれば。

でも、低価格のあっさりクリアできるようなゲームよりも印象には残りました
もっと謎解きの導線がしっかりしていればよかったかな、と思います。

謎解きパズルが好きな方は問題ないでしょう。


まとめ:モノを大切にしたくなる

アンとウイング

星新一のショートショートを思わせる描写・セリフが多々あり、ノベルゲームに近い印象を受けました。

行間を読まないといけないことが多いので、考えながらプレイしないと、雰囲気だけの凡作という評価を下してしまうかもしれません。

しかし、いろいろな選択肢を試してみることで初めて、見えてくるものがあることに気づくはず。

一通りプレイしてそれがあなたの『フォーゴットン・アン』と思うもよし、アンにとって最良の選択を模索するもよし。
奥深いのはテーマだけではないように個人的には感じました。

アニメではなくなぜゲームなのか。
これを考えるとやはり、プレイする価値のあるゲームであることが分かるでしょう。

ちょっと変わったゲームがやりたい、最近のグラフィック重視のアクションには疲れた、もっとまったりゲームしたい、という方におすすめです。


以上、『フォーゴットン・アン』のレビューでした。




以下、ネタバレを多く含みます。一通りプレイ後に読むことを推奨します。

ネタバレなしでは語れない

ネタバレなしでは『フォーゴットン・アン』は語れないので、追記します。

エンディングは2種類?それとも4種類?

クリア後、「最後の選択肢2つだけでエンディング決まるなら、途中経過はあまり関係なくない?」と思った方も多いでしょう。
私もそうでした。結局、エンディングが2つだけなら、ストーリーに広がりがないし、ちょっと残念だな、と。

ところが、クリア後に行けるイーサゲート近くの家、その中に飾られている絵画(タロットカードらしいです)は、2つしか埋まっていません。
あと2つ分空いているのです。

おそらくエンディングは4種類

ということは、エンディングは4種類?
これは気になりますね。
プラチナトロフィーを取っても埋まってませんからね。



少し調べたところ、
開発元である「ThroughLine Games」によると、フォーゴットン・アンは選択肢によって幾重にも展開が分かれていくようなのです。

選択肢分岐(引用:ThroughLine Games

エンディングだけを切り取ってみれば、確かに2パターンしかないみたいです。
が、キャラとの対話を見てみると、その過程は予想以上に複雑多岐に渡っていることが分かります。

このことから分かるのは、エンディングは同じでも、途中の選択肢次第で最後に表示されるタロットカードが変わるのではないか、ということ。
(スタッフロール後のイベントシーンも変化するかもしれない)

なんのヒントもなしにこれを埋めるのはかなり難しいのではないでしょうか。
いくら好きなシーンに飛べるとはいえ、根拠なしに選択肢を選んでも、埋まる可能性は低いでしょう。

これ、ただクリアするだけでは絶対に気づかないですよね。
ほとんどの人が、以下の2種類が埋まったのでは…?

上は1周目。モノからアニマを抜いたり抜かなかったりした場合。
下は2周目。モノから一切アニマを抜かなかった場合。

おそらく、付和雷同した良くも悪くも日本人的な思考で、選択肢を選んでいくとこの2つのどちらかになるのかもしれません(笑)

うーん、『フォーゴットン・アン』はやはり奥が深い…。
プラチナトロフィーを取ったからといってやり切った訳ではないのか…。



さらに調べたところ、タロットカードの絵柄は、やはりアンの行動が影響しているようです。
PS4よりも前にsteamでは発売されているのだから、残りの2枚の出し方がハッキリしていてもおかしくはないのですが、見つけられませんでした。残念。英語を読むのが面倒

でも、ヒントはゲットしました。

上記のフィグのカードが、Rebel
その下の管理者のカードが、Caretaker

残りの2枚は、EnforcerとMasterのようです。

Enforcer:
The Enforcer is strong-willed and relentless. Keeping up the stated law, the Enforcer carries out almost any order without question.

おそらく、ボンクの命令に従い、ただひたすらに執行官としての役目を果たすことが条件かと思われます。

Master:
The Master is clever and powerful. A natural leader, the Master has the courage not only to dream but also to carry out the dream, no matter the costs.

これはどういう行動を取っていけばいいのかさっぱり分かりませんね。Masterはボンクのことでしょうけれど…。

Enforcerは出せそうな気がするけれど、Masterは難しそうです。
時間をおいてから、ストーリーなどを軽く忘れたころにやってみたいと思います。
続けてまた最初からやるのはちょっと疲れますからね。


アンは結局救えないのか

一番印象に残ったセリフ

ボンクと元の世界に還る選択をすると、エンディング後、何事もなかったようにまた最初から始まります。

フォゴットンランドに残る選択をすると、フォゴットリングたちを救う代わりにアンは水晶化してしまいます。

アンが救われる結末はないのでしょうか。

もしかすると、フォゴットンランドは、死後の世界なのかもしれません。

誰の記憶からも消えてなくなる=死

と考えるならば、辻褄は合います。

エンディング2種類とも救いがないですからね。(表面上だけ見るならば)
あとは残りのタロットカードで補完するしかないでしょう。

余白の部分は自分の頭の中で想像・創造することにします。

プレイヤーがアンを憶えている限り、いつかアンが救われる日が来るのかもしれません。
DLCというフォゴットリングが現れて…。