感想『風鳴村』~誰が生き残るのか?を予想しながら楽しめる良質B級ホラー~

『風鳴村』感想レビュー評価

アマゾンプライムで本当によくできたB級ホラー映画を発見したので、ネタバレなしで紹介します。

その名も、『風鳴村』

犬鳴村とも樹海村とも何の関係もない、海外B級(C級?)ホラーです。

本作は、起承転結が明確で、シンプルかつ無駄がありません。
余計な情報や描写は一切なく、とにかくわかりやすく見やすい!

何の気なしに視聴しましたが、これは超良作の部類です。
B級映画を観慣れている方にはこの完成度はわかるはず。

誰が生き残るのか?

という予想をしながら観れる良いホラー映画です。
80分でサクッと観れる短さだし、おすすめ。

▼視聴はここから

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あらすじと簡単な概要

風鳴村―そこに足を踏み入れてはならない

誰にも言えない秘密を抱え、ベビーシッターとして働くジェニファー。
しかし、雇い主に偽造パスポートがバレてしまい逃げるように飛び出した彼女は、行く当てもなく路上で日々を過ごすことに。そんなある日、ジェニファーは警察に追われる最中、たまたま通りがかった観光バスツアーに参加者として運良く紛れ込むことに成功する。

世界でも有名なオランダの歴史ある風車巡りを楽しむ乗客と違って、ジェニファーの表情は暗いままだった。そして突然、バスがエンジントラブルにより動かなくなり、乗客は一夜を車内で過ごすことに。しかしそこには、ある曰くつきの伝説の風車がひっそりとたたずんでいたのだった。

さらにバスツアーの参加者全員には、ジェニファー同様、誰にも言えないある秘密を抱えていた…。

引用:Amazon商品紹介

いわくつきの心霊スポットに、訳ありの観光客たちが迷い込み…という物語。

長々とした前置きなしに、するすると展開していきます。
途中で飽きることもなく、あっという間の80分でした。

ジェニファーをはじめ、それぞれがしっかりキャラ立ちしているので、過去の描写は最低限でありながら、どのような人物かはすぐに把握できます。
そのため、余計な思考なしに先の展開だけに集中して観れました。

グロい描写も「ちょっと笑える」くらいの過激さで、そこも多分わかってて作ってるんだろうなあ、という感じ。

80分の中にB級ホラー映画に必要なものが過不足なく含まれているのではないでしょうか。
ホラー感だけでなく、意外性と驚きも楽しめる良い映画です。

本作『風鳴村』の紹介は以上になります。
気になった方は、今すぐ観始めましょう。観れば分かる映画です。

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以下から、本作を観た感想を書いてます。
ネタバレなしですが、視聴前にわざわざ読む必要はないかもしれません。いや、視聴後もかも。

オランダと風車

風鳴村というタイトルですが、村や村人は一切出てきません。

風車小屋がひとつ出てくるだけ。
清々しいまでのB級感の徹底ぶりです。

よくもまあこれだけで映画にできたものだと感心しました。

オランダ観光ツアーをやっていますが、当然オランダも出てきません。笑

アマプラになければ誰にも見られることなく終わってたでしょう。
こういう出会いがあるからアマプラは良いですね。
ネットフリックスとかHuluだと有名どころしか表面に出てきませんし。

原題は、『The Windmill Massacre』
訳すなら、風車村の大虐殺と言ったところでしょうか。
~の殺人のような新本格ミステリーを彷彿とさせる渋いタイトルになりますね。

というか、「風鳴村」ってなんだよ。村ってどこからでてきた?
勝手に犬鳴村に寄せるなよ。もっとセンスあるタイトルをつけてくれ。笑

珍しい日本人俳優

本作は、日本人が出てきますが、なんと日本人役を日本人が演じてます。

非常に珍しい例です。とてつもなく貴重です。
まさかこんなB級映画で見ることになるとは思いませんでした。

日本版とはいえ、日本語にも字幕を付けてくれないと何言ってるかわからねえ、
というのは変わらずだったため、本当に日本人だと気づかなかったです。

海外生活が長すぎて日本語が下手になってるパターンに違いありません。笑

けっこうおいしい役どころなので、海外から見た日本人はやっぱりこうなのかというのを再認識させられました。

タカシ役の石田淡朗氏。
非常に稀有な俳優ですね。経歴が優秀すぎます。
ああ、本当に有能な人間はとっくのとうに日本にいないんだなあ…。

6年前(2016年)の映画なので、今から作られる映画に日本人が出るとなると、また違った役どころになるのは想像に難くありません。

昔の映画ではよく、「日本製」であることが品質の良さの代名詞としてセリフでも出ていたのだけど、そんなの今は亡き過去。
恥の文化を忘れ、世界中に連日恥をさらし続けている今の日本には、到底無理な話です。

そもそも今後、「日本人」が映画に出てくることがあるのでしょうか…。

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ジェニファー役

ジェニファー役の女優(Charlotte Beaumont)は、なかなかに美人です。
B級映画でよく見かけるクセのある顔ではなく、順当に美人。

まあこれは個人的趣向の問題かもしれませんが、いや、完全に個人の趣味の問題ですね。笑

なんか好きな顔。
それに当てはまる顔です。

全然知名度のある俳優ではないし、応援したくなります。
でも、こういう俳優はあまり映画に出ないんですよねえ。

知名度はなくても、やはり演技は上手いところも好きなポイント。
日本で全く知られてなくても、こんなB級映画に出るくらいの俳優でも、演技はちゃんと上手い。
それが海外エンターテインメントクオリティ。

だから、海外の映画はB級でも楽しめるんでしょうね。
絶対に最低限ラインはクリアしてるし、顔がいいだけの俳優がもてはやされることもない。

ドラマは特に顕著。日本の製作者は海外ドラマを参考にしないのでしょうか。
演技だけでなくストーリーも稚拙では、擁護のしようがありません。

「所詮たかがフィクションだろ」と製作者側が舐めている節さえ感じます。
たとえ生活に不必要な趣味の領域でもそういうところから綻びが生まれるというのに。
まあ、もう綻びどころの騒ぎではないですが…。

「文化の劣化」が隠しようもなく疑いようもなく露呈している現状。
非常に虚しくなりますね。巻き返し不可能なのが確定しているのもさらに虚しい。

まとめ:『風鳴村』感想

『風鳴村』日本版ジャケットはどうしてこうも低品質なのか

『風鳴村』は、B級ホラー映画を観慣れている人にはぜひおすすめしたい作品です。

格別に何かを得られるような映画ではありませんが、
このシンプルなまとまり具合は、映画を観るときの基準になるかもしれないほど高水準。
観て損することはないでしょう。


実際のところ、このジャケットとこのタイトルで一体誰がこの映画を観ようという気になるのでしょうか。

まあでも、映画のサブスクには、こういうマニアックな面白い作品を発見する楽しさがあっていいですよね。
B級映画をたくさん観ることでしか養われない、作品の光るところを見抜く審美眼的なものが身に付きますし。

感覚や感情の閾値を広げてより多くの作品を楽しめるようになるために、B級映画は必須科目だと思います。

ということで、手始めに本作『風鳴村』を観てみましょう。
B級映画のお手本のような作品です。


たぶん、B級映画を楽しめるようになると、心が豊かになって余裕ができるんでしょうね。

なんというか、
子供が一生懸命描いた絵を褒める感じに似ているのかな。

子供の描いた絵に対して、
「パースがおかしい!」「デッサン狂ってる!」「影がない!」「太陽に顔があるわけねえだろ!」
なんてキレてる大人がいたらどう思いますか?

マジでクソヤバい奴確定じゃないですか。

もちろん、B級映画=子供の描いた絵、と言ってる訳じゃないですよ。勘違いしないでください。笑

相手の短所ばかりが目に付く考え方より、より多くの長所を見つけてあげられる生き方のほうが絶対に楽しい。
分かってはいても難しいその生き方を、B級映画を楽しむこと自体が、それを実践レベルに落とし込んでくれる気がします。


とはいえ、当然のことながら何でもかんでも褒めるのナンセンス。
文化の停滞、低迷、劣化の要因になります。
売れるべきものが売れず、売れるべきではないものが売れまくるのは、文化というよりもエンドユーザーの著しい劣化によるもの。
(せめて日本はラルクの花葬が売れてた時代くらいにセンスを取り戻すべき)

脳みそが腐敗している人間に合わせた作品ばかり作れば、文化全体も著しく落ちぶれるのは必然です。
基準を馬鹿に合わせれば、何もかも劣化し、終わるだけ。

作品の消費速度がひと昔前とは比べ物にならないくらいに速くなった今。
こんなご時世だからこそ、B級映画を楽しむ(心に余裕を持つ)ことが求められます。

ということでやっぱり、『風鳴村』はおすすめです。
楽しむことを楽しめますよ。


以上、『風鳴村』の感想でした。


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