『バイオハザード RE:2』(PS4・Zver.)をレビューします。
オリジナルの「バイオハザード2」から20年以上経てからのリメイクということで、シリーズファンとして、期待が高まる分、不安も大きかった作品。
ですが、見事、プラチナトロフィー取得とHARDCOREのS+を達成するまでハマることができました。
新しくも懐かしいプレイ感覚に、変わらずの中毒性があるゲームとなっています。
プレイ時間:50時間
初見HARDCOREの苦しみと面白さ
初見で1周目からHARDCORE(レオン編)をプレイしました。
HARDCOREをクリアしないと出ない難易度(PROFESSIONALやVERY HARD)がいつものように用意されていると思い、周回する労力を省くために最初から選んでみたのですが、いや、まさか、最高難度だとは…。
バイオなら少ない弾薬とインクリボンでやり繰りしてこそでしょ、と思ってしまったのが運の尽きか、完全に舐めてましたね。実に難しかったです。
RE:2で一番難しいのはHARDCORE S+ではなく、間違いなく、初見HARDCORE。
どこに弾があるのか、どんな敵が出るのか、どうボスを倒せばいいのか、それらが一切分からないまま進めるのは非常に困難を極めました。
ゾンビ強いし、タイラントしつこいし、レオンの動き遅いし…。
(プレイ時間の9割くらいDANGER状態だったような気がします)
でも、おかげで、緊張感とスリルのあるまさに“サバイバルホラー”を体感できて満足しています。
とてつもなく楽しめました。
HARDCOREをクリアして気づけたのは、非常にバランスの練られた、工夫しがいのあるゲームであること。
理不尽と難しいのギリギリの境目を行く絶妙な調整がされています。
無理だと思えるような場面でも、きちんと攻略の糸口が用意されているのはさすがですね。
(最初からHARDCOREにしなければそこまで難しくなかったのかもしれませんが…)
『RE:2』は、バイオ2のリメイクとしてはこれ以上ない良作だと思います。
↓初見HARDCOREのプレイ模様がこちら(ネタ多め)
『RE:2』のお気に入りポイント
究極的にリメイク作品
『RE:2』の評価点は、余計なことをしない、に集約されると思います。
オリジナルのバイオ2をプレイした人およびラジコン操作のバイオに慣れ親しんできた人向けに作られているんですよね。だから、派手な体術はしないし、走るのは遅いし、弾が足りなくなる。
今風のアレンジが施されて、ダイナミックな動きをしてもよさそうなものですが、それらはほぼありません。
昔のバイオをキレイなグラフィックでTPSにしてみました、といった感じ。
とことんリメイクに徹していて、無駄のない洗練されたゲームとなっています。
相変わらずの中毒性
HARDCOREクリア直後はその難度に満足してもうしばらくやらなくていいかなと考えていたのに、気づいたらクレア編を始めてしまっていました。
なぜだか繰り返しプレイしたくなるんですよね。
おそらくゲーム性が本来のバイオに戻ったからでしょう。
私はアクションや格闘ゲームなどリズム感の必要なゲームが苦手なので、なるべく自分のペースでできるADVやRPG作品を好みますが、バイオはその代表例。
攻略ルートを考えていくのが楽しいのです。
「詰将棋感のある」と言えば分かりやすいでしょうか。
最初はこれ、次はあれ、最後にその二つを合わせる、のように頭の中でパズルがきっちりと組み合わさっていく感覚。アクション性の強くなったバイオにはないその感覚を、RE:2では久々に味わうことができました。
「これだよ、これ!」
と言いたくなるやつですね(笑)
学生時代だったらもっとハマっていたに違いありません。
ゾンビの存在感
世間的にもバイオ=ゾンビだと思われているほど、バイオとゾンビは切っても切れない関係。
今作ではバイオの顔にふさわしい存在感をゾンビは示してくれました。
これまではドラクエで言うところのスライムくらいの扱いだったのですが、RE:2においてはむしろ、ボスより強いのでは?と思えるほど強化されています。
動きが鈍いゾンビは、戦わずに避けて通るのがバイオのセオリー。
しかし、RE:2のゾンビはそう簡単には脇を通り抜けられません。
特にHARDCOREのゾンビは、速い・硬い・臭いの三拍子揃った完璧な布陣でプレイヤーを苦しめてきます。
一体何度、首筋を噛み千切られたことか…。
ゾンビが脅威に思えたのはこれがシリーズ初ですね。(クリムゾンヘッド除く)
媚びない操作性
単純にエイミングが下手なのかもしれないですが、弾がとにかく当てづらかったです。
ゾンビは上半身をふらふらさせるからヘッドショットがなかなか当たらないうえに、ヘッドショットを当てても死なないといういやがらせ仕様。
10発連続で外した時には、目がおかしくなったのかと思いましたね。
焦れば焦るほど当たらなくなり、弾が足りなくなる。
弾を節約しようにもゾンビは避けて通れない。
負のスパイラルに陥りました。
時代と敢えて逆を行くその操作性の悪さが、いい感じに恐怖を生み出しています。
HARDCORE S+を達成してもなお、エイミングは手こずります(笑)
少し残念な点・気になった点
リメイク作品としては非常にすぐれていますが、オリジナルの2と比べると、ファンとしてはやっぱり物足りないなと思える部分もありました。
ザッピングシステムの削除
オリジナルでは1st(表)でやったことが2nd(裏)に影響を与えていたのですが、RE:2ではそれらが一切ありません。
1周目に備品保管庫のサイドパックを取るべきかどうか悩んだ意味がまるでないとは思わなかった…。
レオンとクレアの交流が少なすぎるんですよね。
最初と金網越しとラストの3回だけ。
お互い協力した訳でもない。
2人がたまたま生き残って最後に出会っただけ、そんな風に見えました。
だから、2ndクリア後の真エンディングには違和感があります。
特にレオンは、このシナリオだとシェリーの恩人になりえませんしね…。(6につながらない)
モンスターの少なさ
下水道に入る前にブルーハーブを所持していったのに、それを使う機会がないまま終わるとは思いませんでした。蜘蛛は当然出現するものかと…。
G(ボスではないほう)が敵ではないのはありがたかったですが、リッカー改・カラス・蛾・裸ゾンビなどは登場しません。敵クリーチャーにバリエーションが足りない気がします。
ウイルスによる生態系の変化・破壊を感じにくいんですよね。
もう2種類だけでもいれば全然違ったかもしれません。(攻略する分には少ないほうが楽ですが…)
タイラントのしつこさ
初めはかなりの恐怖感を味わわせてくれたタイラント。
初見時のインパクトは今でも忘れられません。思わずタイプライター部屋まで逃げましたからね(笑)
ところが、そんなタイラントもいつまでもいつまでも付いてくれば、ただのストーカーです。
DANGER状態のレオンにさえ追いつけないのですから、当然、緊迫感は薄れますよね。
倒せないならそれなりの対処法があってほしかったです。
特定の行動をすると3分間見失ってくれる、とかね。
ただのお邪魔虫になっちゃうのは残念でした。3のネメシスのように要所要所で突然現れてくれたほうがよかったかな…。
アクション性に乏しすぎる
正直、昨今のゲーム中では地味です。
いくらレオンが新人警察官だとは言え、ゾンビに対して優しすぎますからね。
派手な体術をぶちかませとまではいかないものの、もう少しアクション性はあってもよかったでしょう。
最低でも、ストンプ(ゾンビの頭を踏みつける)くらいはしてほしかったです。オリジナルにあったんですし…。
ゾンビに掴まれてから何もできないのもどうかと思いました。
たまに噛みつかれる前に振りほどくこともありましたが、本当にたまにしか起こらないし…。
難しいのは問題ないけれど、違和感があるのは問題ありですね。
人間だったらできてもおかしくないことくらいは、アクション重視のゲームではないとは言え、取り入れてほしかったかなー。グラフィックがこれだけリアルになってますしね。
個人的不満点を挙げると…
以下は、個人的に不満に思った点。誰にも当てはまるようなことではないので、あくまで感想程度のものです。
顔(キャラ)が変
レオンもクレアも「他人感」があります。
プレイ中はどんどん慣れてきて違和感もなくなったんですけど、改めて見るとやっぱりおかしい。
レオンとクレアという感じがあまりしないんですよね。
レオンにいたってはケツ顎だし。
性格も?が浮かぶ場面が多かったです。
慣れ親しんだキャラたちはどこにいった?という気持ちになりました。
「バイオRE:2専用」のキャラクターって感じですね。
人間関係が微妙
レオンとクレアの関係。レオンとエイダの関係。
うーん、ちょっと違和感ありまくりだったかなー。
エイダはただの気の強いお姉さんだし、クレアは口が悪いし、レオンはケツ顎だし。
エイダのミステリアスな感じがないんですよね。スパイがただアネットに翻弄されただけのような。
レオンにキスするシーンもなんだかなーと思いましたね。
真エンディングのクレアとレオンも、「いや、そこまで仲良くなる機会なかったでしょ」と突っ込まざるをえませんでしたし。まあ、アメリカンジョーク的な意味合いであることは分かってるんですけど…
うーん、とにかくカタルシスがなかったです。
繰り返し見たくなるムービーがない
これまでのシリーズだと周回するたびに飛ばさずしっかり見ていたんですけど、今作ではほぼ飛ばしてしまいました。
なんだろう。インパクトがないのかな。一度見たしもういいか、という感じ。
(あ、でも、タイラントがGに腹を抉られるシーンは毎回しっかり見ました笑)
何よりムービーブラウザーがないですしね。
コスチューム替えてムービーを見る、というのが定番の楽しみだったのですが…。
一番残念なのは、ロケットランチャー発射ムービーがないこと。
これは本当に残念だという他ないです。
それから、アウトブレイク(街中の人がゾンビになる)の過程がムービーで全く語られない・客観的に見れないことも残念。
第三者が惨劇に巻き込まれてしまう、ということを強調するなら無いほうがいいのかもしれませんが…。
「もうどうせ知ってるから別にいいよね?」「バイオなんだからゾンビって分かってるでしょ?」みたいなカプコンの考えが見え透くような気がしました。
(1作目を知らない人は、Tウイルスって何?状態になりそう。洋館事件にもほとんど触れないし)
あとは他にも、
- コスチュームが少ない(DLC以外)
- ロケランが弱い
- 本編のネタ要素が少ない
など思うところはありましたが、この辺で終わりにしておきます。
まとめ:堅実&誠実でそつが無い優等生なゲーム
ゲーム的要素をここまで残しつつ、矛盾を抱かせない作りはさすがバイオと言うべき完成度。
「バイオだから」で済んでしまうことの安心感が懐かしいです。
RE:3への期待が高まりますね。ぜひともいつかプレイしたいものです。
今作は好き嫌いが分かれているらしいですが、
世界中で支持されているのならそれは間違いなく面白いゲーム。
たとえ自分がそう思わなくてもです。
自分にゲームを合わせるのではなく、自分をゲームに合わせる。
それが、ゲームを楽しむうえで一番大事なことだと思いますね。
でも、ゲームとしては少々退屈。
それが私の嘘偽りない最終評価です。
まあやっぱり、好きなシリーズだからこそ、細かいところが気になりますし、手放しで褒めちぎりたくないですからね。今作からは、ちょっとスパイスが足りないかなー、という印象を総じて受けました。
バイオシリーズ初プレイがこのRE:2である人の評価こそが、おそらくこのゲームを真に表しているのではないでしょうか。
バイオハザード RE:2は、少し難しめのホラーがしたいならうってつけ。
シリーズをプレイしたことのない方のほうが先入観なく楽しめるかもしれませんね。
歴代でもトップクラスに面白い作品であるのは間違いありません。
スリルを味わいたい方・手ごたえのあるゲームをやりたい方におすすめです。
自信のある方はぜひ、初見HARDCOREに挑戦してみてください(笑)
以上、『バイオハザード RE:2』のレビューでした。
コメント